王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

俺がなかなか話さないから緊張していると、

勘違いしたのだろう。



「そうかもしれない。」



ー正直全然緊張していないが、

自分自身も今の気持ちがわからないため、

緊張しているということにしておいた。



「大丈夫ですよ!

今日は…これからは私がついています」



美姫に上目遣いで、

また微笑まれがら言われ、また心臓がドキドキしてきた。



ー俺は…美姫のことが好きだ。

今まで気付かなかったけど。



もちろん美姫の顔も好みではある。



しかし、それよりも優しいところ、

努力家なところ、そして意外に男らしくて頼りになるところ…、

考えると無限に好きなところが出てきそうだ。



今まで伊集院といるとき、

笑っている美姫を見るのが好きで、

無意識に見つめていた。



それも美姫のことが好きだったからだったんだな。



気付いたら式場のドア前まで来ていた。

ドアが開き、招待客からの拍手が聞こえてくる。



俺たちが式場の中に入ると、

更に拍手が大きくなり、祝福の言葉も聞こえた。



何人か招待客の男性が美姫のドレス姿を見て、見惚れていて、そんな小さなことでもイライラしてしまった。



美姫が自分のことを好きではないのもあって、焦っているのかもしれない。



ー早く自分のものにしたい。

まだ自分を好きになるのは難しくても、

結婚したと実感させてほしい。