王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

ー私の気のせいじゃなければ、碧人様の顔が赤く見える。



碧人様はよろけそうになりながら立ち上がり、

「ご、ごめん。思っていたような話じゃなくてビックリしちゃって」



碧人様は手で顔を隠すようにして、

こっちに歩きながら、



「ごめん、美姫が俺のこと好きなの気付かなかったんだけど、いつから好きでいてくれたの?」



「初めてあったときから…、

10歳のときから、お慕いしていました。」



「ほ、本当?全然わからなかった。

伊集院のことはどう思っているの?」



「えっと、
前も翔と結婚みたいな話が出ていてビックリしたのですが、ただの幼なじみです。

同い年ですが兄のような存在です。

碧人様のことも、よく相談していました。」



「そ、そうだったんだ…。」



ー気付いたら碧人様が正面に立っていた。



いつもの余裕のある微笑みとは違い、

少し恥ずかしそうにしていて、

私の顔を見たと思えば違うところを見て、

挙動不審になっていた。



ーこんな碧人様初めて見た…



「前に『俺は美姫が好き』って言ったのに、

さっき『俺が他に好きな人がいたり、美姫が好きじゃなくても…』っていったのはなんで?」



「実は雪様と『私のことが好きな訳じゃない。王族なんて恋できない』と言っているのを聞いてしまって…、

その後に好きと言ってもらえたので、

気を遣って頂いているのだと思いまして…」



「そっか、あれを聞いていたんだね」

ー碧人様が渋い顔をしている。



「その時、さつき様を見つめていたので、

碧人様はさつき様のことが好きなんだと思ったんです。それで協力しようと思ったんですが…

ただやっぱり碧人様の近くにいたいと思って…」



ーこうして話していると、

今でも私本意で良いのかな…?と思ってしまう。



ーでも、やっぱり…

「今でも私が隣にいていいのかな、という気持ちもあります。
でも、碧人様を私が…し、幸せにしたいです」



と、さっきの告白と同じくらいの声のボリュームで叫んだ。