君が私の冬麗

次の日。

昨日の出来事を思い出すと、なんだかそわそわしてしまう自分がいる。

端正な顔の男の子が私にぶつかって、いつの間にか走らされてて、塾まで送ってもらった。色んなことがありすぎてキャパオーバーだよ。

また、ね。

その言葉が頭の中をフラッシュバックする。

また、会えるのだろうか。また、会えたらいいなと思うのはなんでだろう。

なーんて考えてたら、いつの間にか下校の時間。そして、ホームルームの後、飛田先生に呼ばれた。

「例の勉強会、来週の木曜から始めようと思うんだけど、予定へーき?」

「はい、大丈夫です。」

「ほんとにありがとう。今日、その生徒来てて聞いたら来週からならいいよって。」

「今日来たんですか?」

「そなんだよ。ほんとに気まぐれなやつで困るよ。根はいいやつなんだけど。」

先生も大変だなあ。

「てなわけで、来週からよろしくね。場所は準備室ね。」

「わかりました。」

飛田先生と話終わるのを朱里ちゃんが待っててくれた。

「帰ろ、帰ろー。」

「うん、待っててくれてありがと。」

最近できた水色がコンセプトのカフェの行列がすごいよねって話をしながら、下駄箱まで歩いていると思いがけない名前を聞いた。

「おい、海堂、帰っちまうのかよ。遊び行こうぜー。」

ん?海堂、?

昨日の男の子が不良にそう呼ばれてたような。

まさか、同一人物なわけ、、、ない、よね。

ちょっと気になって声のする方を見てみる。

けど、もう姿はなかった。

「真冬ちゃん、どうかした?」

「ううん。知り合いがいたかもと思って。」

まさか、ね。

下駄箱から靴を取り出し、靴を履き顔をあげる。

すると、目の前をあの端正な横顔が通り過ぎた。

え、、、。

思考が止まった。

また、がすぐに現実になった。

その驚きでわたしは固まってしまっていた。

「真冬ちゃん?」

「あ、ごめん。少し驚いちゃって。」

「もしかして、あの男の子?」

「えっ?!」

そんな分かりやすかっただろうか。

「確かに、きれいな顔してるもんね。一目惚れとかありえる、ありえる。」

隣でうんうんと頷く朱理ちゃん。

「そ、そういんじゃないよ、ただ、、、。」

「ただ?」

昨日のことを言うべきか迷ってしまう私は、まだ朱理ちゃんに心を開けていないのだろうか。友達としてどうなのだろうか。

悩んだ挙句、私は朱理ちゃんに言わなかった。

「なんでもない、よ。」

「そっか、、、。なんかあったら聞くかんね!」

いつも明るい朱理ちゃん。でも、一瞬だけ寂しそうな顔をしていた気がする。

わたしが弱いから。人との関係を築く能力が未熟だから、傷付けてしまう。朱理ちゃんと出会って、そんな自分から変わりたいと思ったのにもかかわらず、まだだめだめだ。

「あ!そうだ、今週の日曜日からぽめりーのコラボカフェが始まるんだけど、一緒に行かない?」

ぽめりーとは、SNSで話題のポメラニアンのキャラクターで、くりくりの目と真っ白でふわふわの見た目がかわいい。朱理ちゃんが最近、ハマっている。

「行きたい、けど、わたしでいいの?」

「当たり前だよ!」

そして、ちょうど駅に着いた。

「じゃあまた、日曜日にね!」

「うん、またね。」

朱理ちゃんはいつも明るくて優しくて大人。こんなわたしでもそばにいてくれる人。大切にしたい、だから日曜日ちゃんと向き合おう。