狂い花は愛されたくて、





***





そうコウに言われたのは、あの騒動があって以降初めて会った情事後だった。





「アイカってだぁれ、」

「妹。この前お前が助けてくれだろう」




聞き間違えかもしれないし? 一応とぼけてみた。



は……?

こいつ正気か?



自分のセフレと自分の妹が仲良く?







……どう考えても頭可笑しいだろ。あまりにも突拍子がなさすぎて、一瞬動揺して、危うく素が出そうになった。
危ない危ない。







「ぇ? あたしでいいんですかぁ? あたしぃアイカチャンと会ったのあれが初めてだしぃタイプ違うからぁあんま仲良く出来る自信ないなぁ〜」







隣でタバコを吹かすコウの身体をベタベタ触りながら、甘える振りをする。





……実はあたしの当初のプランでは、どうせ同じ境遇なんだから、あたしでも大して変わらないだろうと“龍崎 の寵愛される妹”ポジションを乗っとてやろうと思って近づいた。


けれど。

もしかして妹はコウに恋心を抱いているのかもしれないと、このまえ気づいて。







当初は妹の情報を詳しく知るためにまずはコウと寝るだけの予定で。妹に近づけたら、この関係は終わりをハズだった。


ーーでも、妹が本気でこの男を好きなら、セフレからコウの本命になった方が妹を苦しめられる。