それに、あたしは自分の手で
妹ヲ壊ワシタイノーーー
気づくと、握りしめていたスマホを耳に当てていた。
｢ーーあっ、もしもし、コウさぁん!? アンタの妹ちゃんがピンチっぽいから急いで来て。場所は〜｣
いつもはコウからの連絡があるのをひたすら待つだけで、あたしから掛けたことがなかったから、出てくれるか心配だったけど、何コールか鳴り響いた後に出てくれた。
第一声が『ーーお前、誰だ』だったけどね。
……おいおいおい。先に連絡先教えろっつったのお前だよな？
あたしが意外にも気持ちが焦っていて、いつもみたいな馬鹿みたいな喋り方をしている余裕がなかったせいか、それとも単にあの男があたしの名前を登録していなかったせいなのか、あるいは両方なのか、分からないけれど。
けれど『妹』という単語を出した途端、それまでの気だるそうなコウの雰囲気が変わった事は事実だ。
