狂い花は愛されたくて、



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派手めなメイク、トレードマークの金髪、阿呆みたいに短いショーパン、肩と胸元をざっくり開けた服を着て、繁華街に入る。握りしめたスマホはいつコウから連絡があってもすぐ行けるようにだ。



この街に入り浸りすぎて、いつの間にかそれが新しい日常になっていた。




この街にいる“あたしは”ユラで、コウにミーハーな憧れを抱くギャルっていうコンセプトがある。最初は自分のことながら、バカにしてたし違和感だらけだったけれど。


慣れてくると、何者になれなかった地味なあたしのままより、こっちの方がしっくりくるような気すらしてくる。






「やめてッ離してよッ」






その日だって、


いつもと変わらないはずだった。




ーーだから、その現場に遭遇したのは本当にたまたま。路地裏から声がして、なんとなくそちらを見る。






そこでは女が複数の男に囲まれていて、強引に触られていた。レイプか……可哀想に。


この辺は龍崎組の縄張りで兄弟が仕切っているから安全、なんて話を聞いていたのに残念ね。