手を伸ばせば届く距離に、妹がいる。
この光景を何度夢に見てきたか。
ずっと、ずっと会いたかったわーーー
妹のことを考えない日はない。再会の時だけを心の支えに生きてきた。
あたしにはあなただけ。
あなたにもあたしだけ、でしょ?
ーーそれなのに。
そばに近寄ってきた男に、妹は、幸せそうに微笑んで。
その瞬間、あたしの心は黒いインクを零したように真っ黒に染まった。
なに、それ……。
あたしと同じ顔が、あたしがしたこともないような幸せそうな笑みを浮かべてる。
ねぇ、どうしてそんな顔ができるの?
当たり前だけど記憶に残っているよりずっと大人っぽくなった妹。同じ分だけあたしも大人っぽくなったはずなのに、汚れすぎてしまったあたしにはそんな顔出来るはずもなかった。

