「てかぁ、ユラこの前どうだったぁ?」
“ユラ”
この街に出入りするあたしの呼び名。本名だか偽名だかわかんない名前だけど、“マリア”だってどっちか分からないからお互いそんなこと気にしない。
この街のここにいる時以外の時間を、なにをしているかなんて野暮な詮索はお互いしない。
マリアちゃんに限らず、ここに出入りする人間は大半そうだ。
そこは気楽で気に入っている。
「え〜こないだってぇなんのことぉ?」
「勿体ぶらないで教えてよぉ。コウさんとの“ 初夜”! こないだお持ち帰りされてたっしょ?」
「……あ〜、あれねえ。モチ、気持ち良かったよぉ最高だったぁ」
「やっぱぁ〜? いいなぁ。……あたしもぉユラみたいに可愛かったらコウさんの目に留まったかなぁ」
「たまたまだよぉ。あたしなんかよりマリアちゃん十分綺麗じゃぁん」
ふーんそうなんだぁ。
この会話で初めて、マリアちゃんがコウと寝たことがない側の女だったことを知った。
態度には出さなかったけど、意外だった。コウに好かれるために、真似した相手のマリアちゃんがコウのお手つきじゃないなんて。
不思議とマリアちゃんの好感度が上がる。
マリアちゃんって、本当に綺麗なのに。
お世辞とかじゃなくて。顔がどうとか以前にマリアちゃんだって綺麗だと思う。十分魅力的に見える。
それは、あたしみたいに汚れてないからかなーー

