狂い花は愛されたくて、





てっきりテキトーなラブホでもっとテキトーに扱われるかと思ったから、拍子抜けしてしまった。思いの外寝心地の良いベッドに横たわりながら、起き上がっている男の背中を目で追う。






えーっと……。
名前?
なんだっけ?

りゅーさき? ざき? 下の名前……。

まー、いっか。






「ーー龍崎サン、すんごーく気持ち良かったよぉ」







情事が終わった気怠いカラダ。頭がぼーっとして、うる覚えだった男の名前がとんだ。辛うじて覚えていた苗字で何とかすませることにした。




隣で煙草を吸っているその男に、シーツで包んだカラダを寄せる。甘えた声に乗せたセリフは予め考えていたものだったけど、まさかそれを演技なしでいう羽目になるとは思わなかった。







よほどヤり慣れているのか、この男相当上手い、だけどそれだけではなくてーーこの男とあたしは相当身体の相性がいいんだろう。








あたしだけが一方的にそう感じただけかもしれないけれど、あたしだって伊達にその辺の男に抱かれてきたわけじゃないわけで。決して自慢にならないその経験があっても、こんなに翻弄されたのは初めてだった。