彩恋に揺れる


たくさん来ていた彼からのメッセージには、ありがとう。私も大好きだよ、と、噛み合わない二言を送る。

間違ってはない。ほんとのことだもの。

またにぎやかく鳴り出したスマホをカバンにしまって、いつの間にか終わっていた終礼の後、のんびりと帰路に着くため歩き出した。

私も大概、授業を聞いてないよなあとか。
というかそもそも授業らしき授業がなかったなあとか。
そんなことを考えながら。

そう、それはいつも通りに。
そこまでは完璧に、いつも通りに。
だってまさか、人がいるなんて思いもしなかったから。

「邪魔だ」

一言、放たれた言葉に、反応速度が遅れた。

「わあ、それは大変ですね」

反射的に返してから、きょろきょろと人の姿を探す。

「いや、お前がな」

受け答えはシンプルながら、いちいちツッコミを入れてくれる。とても丁寧なひとだ。

「あ、私」

振り返って、どうしてどこにいるのか分からなかったのかが分かった。