エイプリルフールの嘘


 「俺は綾のことが好きだと言おうとしたんだ。友達じゃなく、異性として」

 そう言った、博君の顔は赤くなっていた。
 真っ赤だ。

 「え、エイプリルフールじゃなくて?」
 「うん」

 そりゃ、嘘にしては顔が赤くなってるし。
 でも、え、ちょ。

 「嘘でしょ?」
 「だから嘘じゃないって」
 「本当に?」
 「本当だよ」

 恥ずかしそうに言う博君。

 「分かった」

 私は静かに言った。
 博君はただ、まっすぐにこちらを見ている。