エイプリルフールの嘘


 「博!!!」

 そこに、春斗君が飛び込んできた。
 それを見て、ドキッとした。
 ハグ現場を見られた。

 私は慌てて。
 博君の手から逃れた。

 「良かった。気持ちを伝えられたんだな」
 「「え?」」

 春斗君のその言葉に、私達は、その場で固まった。

 「そりゃ気づいてたよ。博の綾に対する恋心なんて気が付いてるに決まってるだろ。だから綾の提案を訊いた時に、面白い嘘だなって言ったんだよ」
 「そうなの?」
 「うん。逆に綾は良く気づかないなって思ってたよ」
 「ふえぇ」

 博君を見る。

 「恥ずかしい」

 そう言って顔を手で覆っていた。
 それを見て「博、面白」そう言って春斗君は笑う。
 なんだか、いつも通りの光景だ。

 でも、私と博君は違う。これからカップルなんだもんね。
 そう思うと、私も恥ずかしくなってきた。
 その光景を見て、春斗君は「お前らお似合いだよ」そう言ってまた笑う。

 これ、春斗君の一人勝ちだよね。
 そう思わずにはいられなかった。