「はぁ・・・はぁ・・・。」


 悠人の家の屋根裏には、祭壇と呼ばれる、魔術を扱うための部屋がある。


 床には魔方陣が書かれており、蝋燭、ユーカリの葉、海底の砂だと、魔法に必要な道具なら、一通り揃っている部屋だ。


 その中で悠人は漆黒のローブに身を包み、魔方陣の真ん中で呼吸を整えていた。


 太陽は、月以上に強い魔力を持つ、強力な星である。


 太陽の前では、ありとあらゆる魔法が打ち消され、ソレこそ救世主並みの力を持っていなければ、魔法なんて使うことは出来ない。


 しかし、今はその太陽が隠れている。


 ならば、できるかもしれない。


 一種の賭けみたいな魔法だったが、どうやらうまく行ったらしい。


 雨雲を引き寄せ、雷を落とす。


 雨乞いは、古くから使われる魔術だが、落雷とまで行くと、相当賭けの部分が大きくなる。