平和というのはホントに些細なことで壊れる。


 こんな名言を吐いたのは、どこの誰だったか・・・。


 魔道師桜沢悠人は空を見ながら、そんなコトを考えていた。


「・・・どうした?悠人?」


 昼休み。


 弁当も食べ終わり、それぞれに思い思いのことを過ごしている時間。


 空を見上げているのは、何も悠人だけではない。


 クラスの・・・いや、学校のほとんどの人間が空を見上げていた。


 そんな中で、自分の驚愕した表情に気がついた、友人、朝倉由良はたいしたやつだと思う。


「・・・・・あれは・・・なんだ・・・?」


 由良に声をかけられ、そんな言葉がかろうじて出た。


 頭上には太陽がある。


 しかし、その太陽は今大きな影に覆われようとしていた。


「・・・日食だろ?あれはなんだ?・・・と言われたら、月・・・としか、答えようがないと思うのだが・・・。」