『可愛い君へ』


「楽しかったな・・・。」

家に帰った花苗は、デート用のレトロな花柄ワンピースからスエットに着替え、しみじみそう思った。

朝霞は決して話が上手いわけではない。

冗談も言わない。

どちらかというと寡黙だ。

けれど花苗はその沈黙の時間が苦痛ではなかった。

いや、安らいだといってもいい。

花苗もあまりおしゃべりな方ではないし、どちらかというと人見知りするタイプだ。

でも、朝霞といると気持ちが落ち着くのだ。

見守られているような気がする。

そしてはっと気づいた。

次の約束はしなかった。

ということは・・・朝霞部長はやっぱりかき氷を楽しみたかっただけ?