また悪夢の始まりだ

「パパー!」
可愛い息子健太の声が家に響き渡る。おれは25歳の時に結婚し、子供が生まれた。来年から息子は小学校に入学するので、今から不安でいっぱいだ。

「おい!どうしたんだよ!」
俺は帰ってきた息子の姿を見て絶句した。
あざがいっぱいだった。
「おい。怒らないから正直にいってみろ。学校で何があったんだ?」
「学校で・・・あみちゃんになぐられた。」
「あみちゃんの名字は分かる?」
「桜井・・・」
「分かった、ありがとう。」

4月は健太も楽しそうに学校に行っていて、順調だと思っていた。でも、5月に入ってから、急に健太の表情が暗くなった。聞いても、「大丈夫。」と答えるだけだった。不思議に思ったけど詳しくは聞かなかった。
そして、今日。健太はあざだらけで帰ってきた。

「5月からあみちゃんになぐられてて、最初は背中とかだったんだけど、今日は顔と手をなぐられたの。」
見えないとこだったから気づかなかった。背中を見ると、大きなあざだけでも、10個以上はあった。

「なんですか。」
俺は桜井あみの家を突き止めた。
「なんですか。じゃないですよ。うちの息子があみちゃんになぐられたと言って帰ってきたんですよ!」
「知りませんよ。うちのあみはそんなことしません。何かの間違いじゃないですか?」
「あみさんを呼んでください。」

「なに。」
「君があみちゃん?」
「そうだけど。」
「今日健太のことなぐった?」
「なぐったけど。それがなにか?」
「健太はやめてって言ってた?」
「うん!言ってた!
でも嫌がってんのが面白かったから今日もなぐったよ!」
だめだ。このままここにいたらこの子をなぐってしまいそうだ。俺は桜井家から逃げるように帰ってきた。

俺がなぐられるならいい。でも、健太がなぐられるのは許せない。
俺は絶対に桜井あみを許さない。