ポヨポヨな彼の正体を突き止めたいのですが?!

久しぶりの声。



全身に染み渡る。



メッセージが嬉しすぎてすぐ電話してしまった。



こういうところが自分でも嫌になる。



それでも、優しい声がどんどん流れてきて満たされていった。



「ごめんね、全然連絡しなくて」



「僕もごめん。全然連絡しなくて」



ちょっぴり宙斗の声が震えていた。



「実は、早く大学に復活するためにも、予約の色々作らないといけなくなっちゃって」



「そうなんだ。何を作るの?」



今までの経緯を、宙斗のことで悩んでいる以外のことを話すと驚いていたようだった。



「みうちゃん、すごい才能だね」



「このままだと、大学戻れない……」



「わかった、ランくんやゼットにもお願いして作戦会議しよう」



「作戦?」



「そう、どうやってその大量の予約分を短期間で出荷するか」



「そんなことできる?」



「きっとできるよ。みんな、それぞれ得意分野があるからね」



言うまでもなく、それからはあっという間だった。


チームってすごい。



宙斗がどれだけの数を外注に回せばマイナスにならないかを計算する。



ゼットができるだけ同じくらいの完成度の作品を作れる人を探す。



ランくんは、配送でどれだけ節約できるか自分の親族の系列会社と交渉。



材料費に関してもランくんのご両親が協力してくれた。



宙斗と私は作品を作り続ける。その間のサポートもゼットとランくんがしてくれた。



すごい連携プレーだった。




怒涛の1ヶ月、それを過ぎると次第に注文も少なくなり、すんなり大学に戻れた。



「おかえり」



宙斗が嬉しそうに笑っている。




「ありがと。いつも助けてくれて」




「ちょっとは力になれたならよかった」




「ちょっとどころじゃないよ」




「そう? それならご褒美欲しいな」




何をお願いされるのかわからなくて心臓が早くなる。




「私にできることなら」




こんな答えでいいのだろうか?




宙斗がいつになく真剣な顔になった。




その緊張が私にも伝わる。




どうしよう。




聞きたく無い言葉だったら、私はどうなるんだろう。




「あのね…」