やってみなくちゃ結果はわからない。
今、目の前に『留学しませんか?』の掲示がある。
英語はそんなに嫌いじゃない。
でも、テストの点数は取れない。
それでも留学に憧れるのは、一度は食べてみたい大きな大きなステーキ。
とてつもない大きさのジョッキで飲むドリンク。
目の前に広がる壮大な景色。
想像するだけでも身震いがする。
行きたい。
はあ。
「みうちゃん、大きなため息だね。悩みがあるなら相談してよ」
もっぱらの悩みはコイツ、仲田宙斗だ。
本日もいつものごとく、側にいます。
逃げたいです。
新しい友人も全くできません。
「悩み? アンタが悩みの原因!」
「またまた。留学どうしようかなって悩んでたんでしょ?」
「はあ? まあ、行きたい気持ちはあるんだけどね」
「そんな! やっと一緒にいられるようになったのに。行かせないよ」
キリッとキメ顔してみせているが、ただの大福のような顔だ。
昔なら、速攻でキュンキュンさせられてたかもしれないけれど。
どうしてこんな体型に。
なげかわしい。
そういえば、何があったのか聞いてない。
聞きたいけど、私に興味を持たれたんじゃないかって、上機嫌になりそうで聞けない。
「へぇ。費用は大学が出してくれるんだね」
「そう。でも選考会があるし、英語の資格もいるし。先に受けないとね」
「英語なら教えてあげられるし、チャレンジしたら?」
「アンタ、行かせたいのか行かせたくないのかどっち?」
「行かせたくない!」
「あ、もしかして選考会落ちるように、デタラメ教えるつもりなんでしょ?」
「そんな意地悪なことしないよ!」
「どうだか」
「やりたいこと出来なくて、時が経って後悔するよりも、どんどんチャレンジした方がいいって学んだだけさ」
「イギリスで学んだのね」
「違うよ。みうちゃんと別れた時だよ。付き合ってすぐ別れちゃっただろ?」
「まあ、そうね」
「ものすごく後悔したんだ」
宙斗が真剣な顔で答えた。
なんかほんの一瞬だけ、めちゃくちゃカッコよく見えてしまった。
私も少し後悔した。
別に嫌いになったからとかじゃなく、うまく喋れなくて。
イケメンの私服姿にドキドキ緊張しまくって。
彼の隣にいるのはふさわしくないって気付いて。
思い返せば、自分の気持ちばかり優先して考えて、それに振り回されていた。
「あのさ、みうちゃん」
「今、しゃべらないで」
「なんで?」
「アンタがいいヤツに昇格しそうだから」
「そんなことしなくても、僕は、僕は」
あ、告白される?
「みうちゃんの留学、応援するよ!」
「は?」
いったい、何だったのよ!
期待した私がバカみたい。
あー、はい、そうですか。
ただ、友達であればいいってカンジね。
もう! だんだん腹が立ってきた。
「あれ? みうちゃん、この留学募集は去年のだよ。ほら2024年って」
「何でまだ貼ってあるのよ!」
怒りに任せて掲示物をはがし破いた。
「みうちゃん」
「うるさい。今度は何?」
「ゴミはゴミ箱にね」
昔の傷口に塩を塗りたくられただけのような気がする。
でも、床に散らばったゴミを拾っている宙斗がほんの少しだけ素敵に見えた。
今、目の前に『留学しませんか?』の掲示がある。
英語はそんなに嫌いじゃない。
でも、テストの点数は取れない。
それでも留学に憧れるのは、一度は食べてみたい大きな大きなステーキ。
とてつもない大きさのジョッキで飲むドリンク。
目の前に広がる壮大な景色。
想像するだけでも身震いがする。
行きたい。
はあ。
「みうちゃん、大きなため息だね。悩みがあるなら相談してよ」
もっぱらの悩みはコイツ、仲田宙斗だ。
本日もいつものごとく、側にいます。
逃げたいです。
新しい友人も全くできません。
「悩み? アンタが悩みの原因!」
「またまた。留学どうしようかなって悩んでたんでしょ?」
「はあ? まあ、行きたい気持ちはあるんだけどね」
「そんな! やっと一緒にいられるようになったのに。行かせないよ」
キリッとキメ顔してみせているが、ただの大福のような顔だ。
昔なら、速攻でキュンキュンさせられてたかもしれないけれど。
どうしてこんな体型に。
なげかわしい。
そういえば、何があったのか聞いてない。
聞きたいけど、私に興味を持たれたんじゃないかって、上機嫌になりそうで聞けない。
「へぇ。費用は大学が出してくれるんだね」
「そう。でも選考会があるし、英語の資格もいるし。先に受けないとね」
「英語なら教えてあげられるし、チャレンジしたら?」
「アンタ、行かせたいのか行かせたくないのかどっち?」
「行かせたくない!」
「あ、もしかして選考会落ちるように、デタラメ教えるつもりなんでしょ?」
「そんな意地悪なことしないよ!」
「どうだか」
「やりたいこと出来なくて、時が経って後悔するよりも、どんどんチャレンジした方がいいって学んだだけさ」
「イギリスで学んだのね」
「違うよ。みうちゃんと別れた時だよ。付き合ってすぐ別れちゃっただろ?」
「まあ、そうね」
「ものすごく後悔したんだ」
宙斗が真剣な顔で答えた。
なんかほんの一瞬だけ、めちゃくちゃカッコよく見えてしまった。
私も少し後悔した。
別に嫌いになったからとかじゃなく、うまく喋れなくて。
イケメンの私服姿にドキドキ緊張しまくって。
彼の隣にいるのはふさわしくないって気付いて。
思い返せば、自分の気持ちばかり優先して考えて、それに振り回されていた。
「あのさ、みうちゃん」
「今、しゃべらないで」
「なんで?」
「アンタがいいヤツに昇格しそうだから」
「そんなことしなくても、僕は、僕は」
あ、告白される?
「みうちゃんの留学、応援するよ!」
「は?」
いったい、何だったのよ!
期待した私がバカみたい。
あー、はい、そうですか。
ただ、友達であればいいってカンジね。
もう! だんだん腹が立ってきた。
「あれ? みうちゃん、この留学募集は去年のだよ。ほら2024年って」
「何でまだ貼ってあるのよ!」
怒りに任せて掲示物をはがし破いた。
「みうちゃん」
「うるさい。今度は何?」
「ゴミはゴミ箱にね」
昔の傷口に塩を塗りたくられただけのような気がする。
でも、床に散らばったゴミを拾っている宙斗がほんの少しだけ素敵に見えた。


