ポヨポヨな彼の正体を突き止めたいのですが?!

朝起きると目の前のものが全部キラキラして見える。



あれ?



どうした私。



もしかして恋?



この前のイベントのせい?



いやいやいや、様子が違う。



周りを見渡すと、そのキラキラはどこを見ても視野のど真ん中にあった。



元気だけが取り柄だというのに、これでは学校へたどり着けなさそうだ。



しばらくすると良くなるかもしれないと何もせずにボーっとしていたが、大きなミラーボールがキラキラと周っているようで更に気持ち悪くなった。



目を閉じて横になるが、キラキラは大きくなる一方だった。



不安になって思わずスマホを手にする。



「みうちゃん? 朝早くどうしたの?」



「あのね、目を閉じていてもキラキラがすごくて気持ち悪い」



「大丈夫? 病院に行ける?」



「ダメかも」



「熱中症?」



「熱はないし、水分補給もちゃんとしてるよ」



声を聞くだけで落ち着いてきた。



心なしか、あのキラキラもだんだん治ってきたように感じた。



「もしかして、この前のイベントの疲れかもしれない……ごめんね、みうちゃん」



落ち込んだ声に焦ってしまう。



「違うよ! イベント、すごく楽しかった」



「今から、そっちに行くね。病院、付き添うよ」




「大丈夫。少し良くなってきたから」



「でも、また同じようになったら大変だよ」



「大丈夫だって」



「よくないよ! どうしていつも頼ってくれないの?」



「頼ってるよ? 今。宙斗の声聞いたらよくなっちゃった」



「ちゃかさないでよ!」



「電話する前、あ、もうダメだって思って……ものすごく怖くなったの。だから、宙斗に電話したんだよ?」



「……みうちゃんに会いたい」



「うん、後で学校でね」



「わかった」



心がほっこりしている。



めちゃくちゃ穏やかだ。



恋のせい?



いやいや、私の恋はこんなことで始まらない。



電車に乗っている時だった。



また、あのキラキラが発動した。



今度は頭痛まで始まってしまった。



車内はそこそこ混んでいて、全然座ることができない。



仕方なく、吊り革を持ってそこに全体重を預ける。



目を閉じても改善しないキラキラと頭痛はどんどん大きくなっていく。



これは、大学に行けないかも。



吊り革を持つ力も無くなっていき、床にへたり込むしかなかった。



案外、周りの人は気にしていない。



関わらない方がいいという判断の人が多い中、声がした。



「神崎、おい、神崎!」



誰かが名前を呼んでいる。



いや、自分の妄想かも知れない。



こんな時まで、イケメンの妄想とは。



そんな自分につくづく呆れ果てた。