ポヨポヨな彼の正体を突き止めたいのですが?!

ゼットに手をヒラヒラと振ると、ものすごく悔しそうにしていた。



他のスペースでは、みんなのんびりとしていて、楽しそうに会話をしていたり、お気に入りのキャラクターのコスプレをしたりして接客していた。



「みて、あのシローかっこいいよ!」



宙斗に言われた方を見ると、袴を着たシローが立っていた。



「ホンモノ?」



「ね、見えるよね。一緒に写真撮ってもらう?」



首を横に振る。



「どうして? せっかくだから撮ったらいいのに」



「せっかくなら、宙斗と写真撮りたい」



「えっ?!」



顔を赤く青く変化させて驚いていた。



「本当はね、さっきのスペースで隠し撮りしようと思ってたんだ。でも、結局あんなに忙しいなんて思わなくて撮り損ねちゃった」



「僕なんか撮っても、何も面白くないよ」



「面白いかどうかは私が決めること。後からその写真をみて、宙斗とこんな体験したんだねって思い返したい」



すると、もっと真っ赤になっていた。



「よかったら、写真撮りますよ?」



近くにいた髪の短い女子高校生が話しかけてきた。



思わず不思議そうに見つめてしまった。



「新刊買えたお礼です」



と一言添えてくれた。



私はスマホをその人に渡して宙斗の横に走る。



「はい、チーズ」



彼女に確認をと見せてもらった写真は、私も宙斗も思いっきり笑顔だった。



数年後も、何十年後にもこの写真をみて今日のことをしみじみ思い出すんだろうなと思うと胸の奥がジーンとした。



「いい笑顔ですね」



彼女はそう言うと会釈をして行ってしまった。



宙斗は手で顔を仰いでいた。



「宙斗」



「ん?」



目の前の宙斗にたくさん話したい事が渦巻いている。



でも、何から話していいかよくわからなかった。



好き?



違う。



楽しかった。



うん、それはそうだけど。



もっと…なんだろう。



もっと大切な事を伝えたかった。



伝えたいのに、何も言葉がでなくてもどかしかった。



「みうちゃん大丈夫? ハンカチいる?」



不覚にも泣いていた。



「大丈夫」



慌てて腕で目をゴシゴシとこする。



「ゴミ入った? 痛い?」



「もう、取れたと思う」



「ならいいけど、入った状態でこすると目に傷ついちゃうから、次は気をつけてね」



「あ、うん。そうだね。気をつける」



「目薬もってるけど使う?」



「大丈夫。ありがとう」



宙斗が、ゴソゴソとバッグを探り、5つ繋がっている使い切りの目薬のひとつをくれた。



「一応、次の時のためにね」



「うん、ありがとう。宙斗のそういうところが好き」



宙斗がまた真っ赤になった。



色々と伝えたいけど今はこれが精一杯の私だ。




「みうちゃん、さっきの写真いつ送ってくれる?」



「気が向いたらね」



「ちょっと、意地悪しないでよ! 目薬あげたのに!」



そう言って悔しそうにしている宙斗だった。