すごかった。
人の多さも、宙斗達も、何もかもが想像を超えていた。
まずは準備だ。
用意されていたスペースは、会場の1番奥だった。
まるで宙斗達だけのための広いスペースは、普通のスペースの5倍もある。
これもゼットが確保したのだろう。
テーブル近くにダンボール箱が山積みになっていた。
こんなにも売れるのか、それともディスプレイのために色々グッズを持ってきているのか。
箱を開けていくと、綺麗な本だった。
表紙には『シジョー』のメンバーがビーチで楽しそうに遊んでいるシーンを描いていた。
「すごーい! 描いたの宙斗?」
「うん、ランくんと一緒にね。ごめんね、時間ないから平積みでいいから出して並べてくれる?」
「わかった!」
箱から出し、どんどんテーブルの上に陳列する。
それだけでもかなり時間がかかった。
外に並んでいた人達もどんどん会場内に入る中、ひたすら黙々と準備する。
それを見て、自分のスペースの準備が終わった人達が駆けつけて手伝ってくれた。
宙斗とランくんは、彼らにお礼をしなければとお菓子を配っていた。
すると、まだイベントが始まらないうちから列ができ始めた。
まだ並ばないようにとゼットが注意するも、その列はどんどん長くなる一方だった。
結局、ゼットはその列の対応をしなければならなくなった。
そうこうしていたら、大きな鐘の音がなった。
イベントのスタートだ。
ものすごい人の波が押し寄せてあっという間に会場が熱気に包まれる。
さっきまで肌寒かったのがウソみたいだ。
次々に本が売れていく。
3人で対処するには戦争だった。
「ね、言ったでしょ?」
ゼットが様子を見に来て笑っている。
宙斗達の列は途切れることなく、列はどんどん長くなっていった。
宙斗に呼ばれてゼットも売り子の仲間入りだ。
飛ぶように作品が売れていく。
あれだけ山積みしていた作品はあっという間に少なくなり、並んでいる人たちも自分が買えるかどうか心配そうに見ていた。
後ろのダンボールから取り出しては平積みしていき、またそれがみるみるうちに少なくなりの繰り返しだ。
1時間くらい経った頃だった。
「それ、ラストだから」
宙斗が声をかけてきた。
さっきのダンボールの山はなくなり、代わりに中が空っぽのダンボールが無造作に積み上げられていた。
「え? もう?」
「うん、いつもの3倍くらいお願いしていたけど、やっぱり早かったね」
宙斗が申し訳なさそうにしている。
ゼットが、列に向かって叫んだ。
「本日購入出来なかった方で購入希望があれば、こちらで予約を承ります」
スペースの1番端にテーブルを持ってきてパソコンをセッティングし始めた。
買えるか買えないかの瀬戸際で私たちも緊迫していた。
冊数が少なくなるたびに、列のみんなも息をのんでいた。
最後の一冊をランくんが、お客さんに渡した。
「本日分は売り切れました! ありがとうございました!」
宙斗がみんなに向かって大きく礼をした。
「ありがとうございました!」
私もそう言って礼をした。
会場は拍手でいっぱいになった。
「では、予約希望の方はこちらへどうぞ!」
ゼットが手際良く受付をしていく。
長かった列の人々も落ち着いた様子で流れていくように申し込みを終えて帰って行った。
「なんか、あっという間に予約終わったね」
「並んでいる間に予約のQRコードを作ってもらってたからね。リーダーで読み込めば一瞬じゃん?」
つくづく彼の能力にはびっくりさせられるところがある。
「さてと、イベントはまだ始まったばかりだから一緒に回ろう? みうちゃん」
へとへとになっていそうなのに、元気を振りまいた宙斗が笑っていた。
「うん。じゃ、行ってくるね」
「ちょっと! オレも行きたい!」
ゼットが宙斗に飛びつこうとするのを、ランくんが後ろから羽交締めしていた。
人の多さも、宙斗達も、何もかもが想像を超えていた。
まずは準備だ。
用意されていたスペースは、会場の1番奥だった。
まるで宙斗達だけのための広いスペースは、普通のスペースの5倍もある。
これもゼットが確保したのだろう。
テーブル近くにダンボール箱が山積みになっていた。
こんなにも売れるのか、それともディスプレイのために色々グッズを持ってきているのか。
箱を開けていくと、綺麗な本だった。
表紙には『シジョー』のメンバーがビーチで楽しそうに遊んでいるシーンを描いていた。
「すごーい! 描いたの宙斗?」
「うん、ランくんと一緒にね。ごめんね、時間ないから平積みでいいから出して並べてくれる?」
「わかった!」
箱から出し、どんどんテーブルの上に陳列する。
それだけでもかなり時間がかかった。
外に並んでいた人達もどんどん会場内に入る中、ひたすら黙々と準備する。
それを見て、自分のスペースの準備が終わった人達が駆けつけて手伝ってくれた。
宙斗とランくんは、彼らにお礼をしなければとお菓子を配っていた。
すると、まだイベントが始まらないうちから列ができ始めた。
まだ並ばないようにとゼットが注意するも、その列はどんどん長くなる一方だった。
結局、ゼットはその列の対応をしなければならなくなった。
そうこうしていたら、大きな鐘の音がなった。
イベントのスタートだ。
ものすごい人の波が押し寄せてあっという間に会場が熱気に包まれる。
さっきまで肌寒かったのがウソみたいだ。
次々に本が売れていく。
3人で対処するには戦争だった。
「ね、言ったでしょ?」
ゼットが様子を見に来て笑っている。
宙斗達の列は途切れることなく、列はどんどん長くなっていった。
宙斗に呼ばれてゼットも売り子の仲間入りだ。
飛ぶように作品が売れていく。
あれだけ山積みしていた作品はあっという間に少なくなり、並んでいる人たちも自分が買えるかどうか心配そうに見ていた。
後ろのダンボールから取り出しては平積みしていき、またそれがみるみるうちに少なくなりの繰り返しだ。
1時間くらい経った頃だった。
「それ、ラストだから」
宙斗が声をかけてきた。
さっきのダンボールの山はなくなり、代わりに中が空っぽのダンボールが無造作に積み上げられていた。
「え? もう?」
「うん、いつもの3倍くらいお願いしていたけど、やっぱり早かったね」
宙斗が申し訳なさそうにしている。
ゼットが、列に向かって叫んだ。
「本日購入出来なかった方で購入希望があれば、こちらで予約を承ります」
スペースの1番端にテーブルを持ってきてパソコンをセッティングし始めた。
買えるか買えないかの瀬戸際で私たちも緊迫していた。
冊数が少なくなるたびに、列のみんなも息をのんでいた。
最後の一冊をランくんが、お客さんに渡した。
「本日分は売り切れました! ありがとうございました!」
宙斗がみんなに向かって大きく礼をした。
「ありがとうございました!」
私もそう言って礼をした。
会場は拍手でいっぱいになった。
「では、予約希望の方はこちらへどうぞ!」
ゼットが手際良く受付をしていく。
長かった列の人々も落ち着いた様子で流れていくように申し込みを終えて帰って行った。
「なんか、あっという間に予約終わったね」
「並んでいる間に予約のQRコードを作ってもらってたからね。リーダーで読み込めば一瞬じゃん?」
つくづく彼の能力にはびっくりさせられるところがある。
「さてと、イベントはまだ始まったばかりだから一緒に回ろう? みうちゃん」
へとへとになっていそうなのに、元気を振りまいた宙斗が笑っていた。
「うん。じゃ、行ってくるね」
「ちょっと! オレも行きたい!」
ゼットが宙斗に飛びつこうとするのを、ランくんが後ろから羽交締めしていた。


