ポヨポヨな彼の正体を突き止めたいのですが?!

当たらないと理解していてももしかしたらのコンマパーセントに希望を託してしまう人も多いかもしれない。



宙斗なら上位賞をズラリとならべてほくそ笑んでそうなのに、今回はランくんの一人勝ちのようだ。



全然当たらなくて躍起になっている姿が新鮮で、ちょっぴり可愛く見えた。



店外に無理矢理引っ張り出されて(私とランくんがずるずると引きずった)落ち着いたのか、ボーッと空を見上げていた。



ドリンクを抱えて店から出てきたランくんが、宙斗と私にボトルを渡す。



「いいよ、私」



ランくんが、微笑んでいる。



その表情は飲んでと言っていた。



宙斗は上の空でランくんにお礼を言ったものの、今度は両手で包み込んだボトルをボーッと見ていた。



なんとか元気出して欲しいなと思う。



「そうだ、私が2回引いてくるから、その後に引いてみたら?」



「もう、いいよ」



いじけている宙斗は子供っぽい。



不覚にもまた可愛いと思ってしまう。



「私がすごくかき混ぜてくるから、ね?」



「そんな事しても当たらない時は当たらないんだよ」



「この神の字が入った神崎みうがかき混ぜるんだよ? 効果絶大でしょ?」



こんなことには食いつかないだろうな…と思いつつ言ってしまた。



「確かに! それ、すごいかも!!」



あっという間にいつもの元気オーラをまとい、手に持っていたボトルのキャップを開けると一気に飲みほした。



「さあ、みうちゃん! 行こう!」



「ここで待ってたら?」



「僕のパワーもあげるよ。そうすれば、もっと当たる確率上がると思うよ!」



「それは自分に使った方がいいんじゃない?」



「みうちゃんが2つ引いて、一つ僕にくれればいいよ」



「それさ、一つが上位賞でもう一つは下位賞だったらどうするの?」



「みうちゃんが下位賞を引くはずないよ!」



「そんなのわからないじゃない。2つとも下位賞の可能性もあるし」



「とにかく、みうちゃんが引いたのが欲しい!」



「それって、結局私が絡んでたら何でも欲しいってだけでしょ?」



「……そう」



「キモい!」



「そんなこと、今まで言わなかったのに! ひどい!」



「ごめん……。つい、本音が」



「いつもはそう思ってるって事?」



「やだな、思ってないよ」



笑ってごまかしてもあとの祭りだ。



ちょっといじめるつもりが裏目に出た。



「ね、冗談だからいじけないでよ宙斗」



「冗談とは思えないよ」



またすっかり拗ねてしまった。



ランくんが私と宙斗の背中を押した。



「ちょっと?!」



ジェスチャーで手を振り早く引いてきてと催促する。



「ランくんも一緒に来てよ」



と宙斗。



あーあ、これは完全に嫌われたかな。



いつも一言多いせいで損しちゃうんだよね、私。



上位賞引いて何とか挽回しなければならない。



店に3人で再入場。



こんなにプレッシャーがすごいのは久しぶりだ。



店内に残っているフィギュアは3体だった。



その内の一体は、『シロー』だった。



ヒラヒラしたマントが



小さな箱の中に残っているくじはかなりまだ多い。



しっかりかき混ぜて、かき混ぜて、かき混ぜて。



レジの人も呆れるくらいかき混ぜて、1枚、一呼吸おいてからもう一枚引いた。




「こちらと、こちらですね」



目の前に置かれたのは、フィギュア2体だった。



「す、すごいよ! みうちゃん!!」



宙斗がカウンターに置かれたフィギュアを屈んで上から下からあちこちから見ている。



「本当に当てるなんて、やっぱり神がかってるね!」



「シローいない…」



1番欲しかったシローのフィギュアは、まだカウンターにあった。




「どうするの? もう一回引いてみる?」



と、宙斗が言った。



「どうしよう……」



こんなついてる日なんて滅多にない。



もう一回引くべきか…、でもまた引き始めたら宙斗と同じように下位賞がどんどん出てくるかも知れない。



迷っていると、後ろにお客さんが並んでしまった。



「みうちゃん、僕が引くよ!」



宙斗が店員さんにもう一回引きたいのを伝える。



迷惑そうな顔をしながら渋々くじの箱を渡した。



勢いよく引いた宙斗。



私も緊張してきた。



ランくんもものすごく顔がこわばっている。



くじをめくると……!



灰のようになってしまった宙斗の前に、下位賞のグッズが置かれた。



店員さんが、声を上げた。




「次の方どうぞ」



その声は妙に虚しく響いていた。