朝のコンビニ。
徹夜明けだから、栄養ドリンクを買いに来た。
小瓶を片手にレジへ急ぐ。
レジ横に大きな箱やグッズが並んでいた。
思わず息をのんだ。
『シジョー』のフィギュアだ。
クジを引いて、出た賞のフィギュアやグッズと交換できる。
一回が高額なため、何度も引くことは難しい。
ざっと見ると、1番欲しいシローのフィギュアが2体あるようだった。
後ろ髪引かれながらも清算して店を後にした。
それからずっと頭から離れない。
当たらないのはよくわかっているけど、一度でもやっておけば納得したかもしれない。
いや、ハズレたらハズレたで悔しい思いをするはずだ。
なんであの時もっとよく混ぜなかったんだろう、左手で引くと当たりやすいのになんで右手で引いたんだろう、とかグルグル思うはずだ。
今日の社会学のプレゼンテーションの出来は最悪だった。
せっかく一週間もかけて準備したにも関わらず、頭の片隅にシローのフィギュアがちらついてしまった。
ここ数日の徹夜も水の泡となった。
結局、自分も納得できない発表をしてしまい教授も不機嫌そうな顔を向けていた。
後で、データを提出するようにと言われた。
それが少しでもポイントになってくれればいいのだが、きっと難しいだろう。
教室の片付けも教授にお願いされてしまい細々とした器具をひとまとめにしていた。
すると、そこに誰かが来た。
「ランくん!」
ランくんが、どうしたの?という顔をしている。
「あ、今ね、片付けお願いされたからしてるとこ」
ランくんは、そうなんだという顔をしていた。
すると、一緒に片付けをしてくれた。
勝手を知ってるみたいに、コードはこっち、スタンドはこっちと指示を出してくれる。(指をさして)
あっという間に終わった。
「ありがとう、ランくん」
頷きながら嬉しそうにしている。
帰る? みたいな顔をしている。
「うん、帰ろっか」
ランくんは表情が豊かだ。
きっと宙斗も同じようにコミュニケーションをとっているのかもしれない。
いつもの2人の関係に少し納得してしまった。
言葉は話すだけが言葉じゃないんだと思った。
特に何も話すことなく、並んで帰っていた。
いつもの帰り道が、違って見えた。
ここに宙斗がいたら、もっと賑やかだろうなと思ってしまう。
それを察してか、ランくんがそうだねという表情で頷いてきた。
なんでもお見通しなのは、宙斗もランくんも一緒か…と呆れてしまう。
それも察してか、苦笑いしているランくんだった。
宙斗も、ランくんも人間離れしたところがあるけど、もしかしてエスパー?
それともエイリアンとか?
違うよね、人間離れしてるだけだよね。
「そういえば、『シジョー』のクジ始まったけど引いた?」
ランくんがうんうんと、頷いている。
スマホを取り出すと写真を見せてくれた。
1番賞のフィギュアの箱を抱えてニコニコしているランくんの写真だった。
「え? 当たったの?」
ランくんが激しく頷く。
「何回引いたの?」
人差し指を私に向けた。
「うそっ、一回であたったの?」
まあねといわんばかりに嬉しそうに笑っている。
「私も今日引きたい!」
行く?という顔をしているので、私もランくんに負けじと激しく頷いた。
コンビニへ入ると先客がいた。
ガムのようにレジカウンターにひっついている。
「もう一枚だけ!」
そう叫んでいた。
「宙斗?」
「みうちゃん? ランくんも?」
宙斗が珍しくランくんに抱きついた。
「全然当たらないんだよ! ずっと下位賞ばっかりで」
「もうやめなよ。出ない時は出ないから」
「どうしてもA賞が欲しいんだって!」
ランくんがスマホを取り出し写真を見せようとしたので慌てて止めた。
店員がものすごく迷惑そうにしていたので、宙斗を引っ張ってレジカウンターから引き剥がした。
「ほら、一旦落ち着こう?」
うんうんと、宙斗が頷いた。
頷きながらも、下位賞のグッズ(ファイルやアクスタやそれはもういろいろと)を大きなサブバッグに詰めている。
「シロー、いる?」
「欲しい!」
思わず両手を差し出していくつかもらってしまった。
徹夜明けだから、栄養ドリンクを買いに来た。
小瓶を片手にレジへ急ぐ。
レジ横に大きな箱やグッズが並んでいた。
思わず息をのんだ。
『シジョー』のフィギュアだ。
クジを引いて、出た賞のフィギュアやグッズと交換できる。
一回が高額なため、何度も引くことは難しい。
ざっと見ると、1番欲しいシローのフィギュアが2体あるようだった。
後ろ髪引かれながらも清算して店を後にした。
それからずっと頭から離れない。
当たらないのはよくわかっているけど、一度でもやっておけば納得したかもしれない。
いや、ハズレたらハズレたで悔しい思いをするはずだ。
なんであの時もっとよく混ぜなかったんだろう、左手で引くと当たりやすいのになんで右手で引いたんだろう、とかグルグル思うはずだ。
今日の社会学のプレゼンテーションの出来は最悪だった。
せっかく一週間もかけて準備したにも関わらず、頭の片隅にシローのフィギュアがちらついてしまった。
ここ数日の徹夜も水の泡となった。
結局、自分も納得できない発表をしてしまい教授も不機嫌そうな顔を向けていた。
後で、データを提出するようにと言われた。
それが少しでもポイントになってくれればいいのだが、きっと難しいだろう。
教室の片付けも教授にお願いされてしまい細々とした器具をひとまとめにしていた。
すると、そこに誰かが来た。
「ランくん!」
ランくんが、どうしたの?という顔をしている。
「あ、今ね、片付けお願いされたからしてるとこ」
ランくんは、そうなんだという顔をしていた。
すると、一緒に片付けをしてくれた。
勝手を知ってるみたいに、コードはこっち、スタンドはこっちと指示を出してくれる。(指をさして)
あっという間に終わった。
「ありがとう、ランくん」
頷きながら嬉しそうにしている。
帰る? みたいな顔をしている。
「うん、帰ろっか」
ランくんは表情が豊かだ。
きっと宙斗も同じようにコミュニケーションをとっているのかもしれない。
いつもの2人の関係に少し納得してしまった。
言葉は話すだけが言葉じゃないんだと思った。
特に何も話すことなく、並んで帰っていた。
いつもの帰り道が、違って見えた。
ここに宙斗がいたら、もっと賑やかだろうなと思ってしまう。
それを察してか、ランくんがそうだねという表情で頷いてきた。
なんでもお見通しなのは、宙斗もランくんも一緒か…と呆れてしまう。
それも察してか、苦笑いしているランくんだった。
宙斗も、ランくんも人間離れしたところがあるけど、もしかしてエスパー?
それともエイリアンとか?
違うよね、人間離れしてるだけだよね。
「そういえば、『シジョー』のクジ始まったけど引いた?」
ランくんがうんうんと、頷いている。
スマホを取り出すと写真を見せてくれた。
1番賞のフィギュアの箱を抱えてニコニコしているランくんの写真だった。
「え? 当たったの?」
ランくんが激しく頷く。
「何回引いたの?」
人差し指を私に向けた。
「うそっ、一回であたったの?」
まあねといわんばかりに嬉しそうに笑っている。
「私も今日引きたい!」
行く?という顔をしているので、私もランくんに負けじと激しく頷いた。
コンビニへ入ると先客がいた。
ガムのようにレジカウンターにひっついている。
「もう一枚だけ!」
そう叫んでいた。
「宙斗?」
「みうちゃん? ランくんも?」
宙斗が珍しくランくんに抱きついた。
「全然当たらないんだよ! ずっと下位賞ばっかりで」
「もうやめなよ。出ない時は出ないから」
「どうしてもA賞が欲しいんだって!」
ランくんがスマホを取り出し写真を見せようとしたので慌てて止めた。
店員がものすごく迷惑そうにしていたので、宙斗を引っ張ってレジカウンターから引き剥がした。
「ほら、一旦落ち着こう?」
うんうんと、宙斗が頷いた。
頷きながらも、下位賞のグッズ(ファイルやアクスタやそれはもういろいろと)を大きなサブバッグに詰めている。
「シロー、いる?」
「欲しい!」
思わず両手を差し出していくつかもらってしまった。


