ポヨポヨな彼の正体を突き止めたいのですが?!

宙斗の目には涙が滲んでいた。



泣かせてしまったと思い慌ててしまった。



「あのさ」



「妄想かもしれないけど!」



2人の声が重なった。



お互い顔を見合わせる。



気まずい。



顔をそらさなきゃと思ったが2人とも見つめ合ってしまった。



気まずさの中に、よくわからない感情が混ざる。



すぐに全身が一瞬で沸き上がった。



「宙斗、すごい真っ赤」



「みうちゃんもだよ。美味しそうなりんごみたい」



どうしよう、ドキドキが止まらない。



「確かに僕は、僕の中で都合のいいようにみうちゃんを想像してたかもしれない。でも、それはやっぱりみうちゃんが大好きだから!」



しまったという顔をしていた。



明らかに慌てている。



全然落ち着かなくて、上を見たり下を見たりと忙しい。



カッコ悪いのに、ものすごくカッコよく思えてしまった。



だって、ここまで真っ直ぐに自分の気持ちを伝えられるってすごいことだ。



「いや、だからね」



「宙斗、ありがと。好きになってくれて」



「み! みうちゃん?! その先は言わないでよ」



「言わせてよ。妄想の私と、ホンモノの私とどっちがいい?」



「ええっ?!」



宙斗はさらに慌てふためいてしまって、頭を抱えてしまった。



「じゃ、じゃあ、も、妄想の方で」



「はあ? そこはホンモノでしょ?」



「いや、そうじゃなくて。もっとロマンチックな所で告白したかったのに!」



ポロッとこぼれた彼の本音が、くすぐったくて思わずニヤニヤが止まらなかった。



「だから、えっと…だから、今の無しで!」



「本当に無しでいい? 私、気が変わっちゃうかもよ?」



「そ、そ、それは困るよっ!」



「ってことで、聞かなかったことにするね」



「みうちゃん! そんなのないって!」



しばらくは、こんな関係でいい。



言いたいことお互い言ったり、ふざけあったりしたい。



どうせだったら、私が告白しよう。



ものすごくロマンチックにね。



宙斗がビックリするくらいに。



いや、ちょっと待って!



思考回路がバグってたけど、私はイケメンと付き合うんだから!



危ない、危ない。



危うくこの雰囲気に流されるところだった。



そうだった。



私の大学生活、しっかりエンジョイしないとね。



居心地がいいのも善し悪しよね。



でも、こう思う度に胸の奥がズキズキ痛むのはなんでだろう?