ポヨポヨな彼の正体を突き止めたいのですが?!

宙斗とゼットの接点って何だろうと思いつつ、目の前のアップルジュースを少しずつ飲んでいた。



味がしない。



色々気になっているせいかもしれない。



ランくんがいつも以上に警戒心をむき出しにしている。



ゼットと目が合い、ドキッとした。



「不思議? こんなに仲良いの?」



「不思議ではないです」



「そう? 色々と聞きたそうにしてるのに」



「してますか?」



私以外の3人が大きくうんうんとうなずいている。



全員がそんな反応なのに少し恥ずかしくなった。



「俺と宙斗は、主従関係みたいなもん。宙斗が依頼主で、俺が雇われ」



「え?」



全然そんな風に見えなかった。



そもそも主従関係なら、もう少し応対の方法があると思う。



バイト先ではこんなに馴れ馴れしくは絶対できない。



「こう見えても俺、腕利の情報屋だから、何かあったら依頼よろしくな」



「情報屋?」



いったい宙斗は彼に何を頼んだのだろう。



私の居場所とかじゃないよね?



「そういうわけで、これからもよろしくな」



「どうも」



ちょっと心強い知り合いができたのかな?



「それで、どうなの? 神崎さんは」



「どうって?」



「気になる人とか、大学のこととか」



新生活始まってから、いろんなことがいっぱいいっぱいで何も考えられない。



「忙しいなって」



「そうだね。バイトもそこそこ大変そうだし、入力作業は順調?」



「うん。え? なんでバイトのことまで知ってるの?」



「だから俺、情報屋なんだってば。神崎さんのこと、まだ色々知ってるよ。昨日は寝る前に『シジョー』の情報をチェックしながらそのまま寝ちゃったとか」



「怖いんだけど!」



「だって、呟いてたじゃんね? SNSに」



「フォローされてるの? 私?」



「そこは基本でしょ」



うかつにあれやこれや呟けないと思った。



何気ない一言が自分の個人情報を世界に公開している。



「怖がらせちゃってごめん。でも、これが仕事だからさ」



「大変な仕事だね」



ゼットは、目を大きくしてビックリした顔をした。



その後に、大声で笑う。



「ちょっと、周りに迷惑だから! 声!」



涙目になりながらも、まだ声をひそめて笑っていた。



「なんなの? 大丈夫?」



宙斗が、ゼットの背中をさすっていた。



「大丈夫。いつもこうなんだ。笑いだすと」



と、宙斗が呆れた顔で答えた。



ちゃんと息しているのか心配になってしまう。



「いやあ、宙斗が夢中になるのもわかるような気がする。そんなに簡単に相手を信用しちゃダメだよ、神崎さん」



別に信用はしていない。



人の情報をあれこれ詮索するにも、パワーがいると思ったから、大変だねと、言っただけのことだ。



どこがおかしいのか、自分ではよくわからなかった。



その後、モンブランやら、大きなパフェやらどんどん運ばれてきて、ランくんがやけ食いするのを初めて見てしまった。



帰りは、4人で歩いていた。



途中でゼットとランくんが抜けて、宙斗と2人で歩いていた。



「そんなに悪い人じゃないから。彼」



「うん、宙斗がそう言うなら」



「先に謝っておくけど、日本に帰ってきた時に、みうちゃんのこと知りたくて彼に頼んだんだよね」



「え? ストーカー?」



思わず声に出してしまった。



「客観的に見るとそうかもしれない。ごめんね」



「なんで私?」



「だって、日本に帰ってくる理由は、みうちゃんに会いたかったからなんだよね」



「どうして、そんなに会いたくなるの?」



「みうちゃんは一度も僕のこと思い出さなかった?」



「わからない。思い出したような、思い出してないような?」



「くじけそうになったり、寂しくなった時、いつもみうちゃんが出てきてたんだ。僕はね」



「宙斗が勝手に作り上げてるだけでしょ? 本当の私は、宙斗が思ってるような神崎みうじゃないよ」



私の隣で宙斗はショックを受けていた。



今にも泣き出しそうな顔をしていた。