ポヨポヨな彼の正体を突き止めたいのですが?!

沈黙が怖い。



静けさは大好きだけど、人と話しているタイミングでの沈黙は酷だ。



相手にどう思われているか心配したり。



何か失言したんじゃないかと不安になったりする。



宙斗にどう思われたって別に構わない。



むしろ、好きなのか嫌いなのかはっきりしたほうが楽だ。



嫌いの選択をされて、友達じゃなくなってしまうのはちょっぴり悲しいけど。



結局、この沈黙に耐えきれず切ることにする。



「迷惑かけてごめんね。今のお願い聞かなかったことにして。じゃあね」



「待って、切らないでよ。聞かなかったことになんてできないよ」



「体調の方が大事だし、私に会うことが負担なら会わない方がいいよ」



「いや、その……。あのさ……、みうちゃんは、誰かと付き合いたいって思ってる?」



「どうかな…」



早く欲しいに決まってるじゃない!



見栄張っちゃったけど。



「もし、もしだよ。今誰かに告白されたら付き合ったりする?」



あれ?



これってもしかして告白されるパターン?



「そんなの、そうなってみないとわからないよ」



「だよね」



「みうちゃん」



「は、はひっ!」



噛んじゃった。



「僕とつ、つ、つ…」



キタっ!



「つ、つ、つ……」



うん、何?



「つ、つ、次は、僕とイベント行ってください」



「へ?」



声が裏返った。



やってしまった、私の大勘違い。



だよね。



第一、告白されてもどうしたらいいかわからない。



私の望みは、イケメンと付き合うこと。



それでも、今、がっかりしてるのは何でだろう。



「みうちゃん?」



「あ、うん。行こう! 何のイベント?」



「『シジョー』だよ。まだアニメ見てないよね?」



「うん、まだ」



「見てなくても、多分楽しめるとは思うけど、でも見てから行きたいよね?」



確かに。



せっかくなら、鑑賞してから行きたい。



でもそんな時間ないんだよな……。



宿題も山積みだし。



あと、そういえば金欠だった。



「イベント、またにしてもいい?」



「え?」



「ごめん。小説で内容は知ってるけど、先に映像見ておきたいし、レポートと宿題と、あと色々あって…」



「チケット、招待券だったからちょっと残念だな…」



「招待券? どうしたの?」



「ランくんが、この前のお礼にってくれたんだ」



「もしかして、ランくんって財閥かなんか?」



「ちがうよ。どこかの国の第四王子だったかな?」



王子様って。



「ちょっと待ってよ。私、王子様とライブ参戦したってこと?」



「うん、まあ。そうなるね」



「そうなるねって、それ、かなりヤバくない?」



「そうかな? ランくんはランくんだよ」



「いったいどういう思考してんの?」



「きっとランくんも王子ってことで付き合って欲しくないと思うよ」



ま、そうだよね。



一理ある。



誰かにレッテル貼られて毎日過ごすなんて絶対嫌だ。



「聞かなきゃよかった…」



「どうして? みうちゃんはそんなことで人を評価したりしないでしょ?」



「……」



「昔からそうだったよ。偏見なんて全然持たなくて。そんな所が好きだよ」



一瞬で体が熱くなった。



好きと言われて、ドキドキした。



「みうちゃん、覚えてる?」



「何を?」



「幼稚園の時のこと」



「ほとんど記憶ない」



「だよね。でも、僕は鮮明に覚えてることがあるんだ」



「へえ。どんな?」



「みんなで劇をすることになってね…」



その時、宙斗の方でチャイムが鳴るのが聞こえた。



「ごめん、切るね。また、いつかイベント誘うね」



「待って! やっぱり行く!!」



と大声を出した時には、電話からツーツーと切られた音が響いていた。



どっと疲れが押し寄せてきた。



後悔しても遅い。



深く考えずに、一緒にいることだけを考えればよかった。



針で何度も刺されているみたいに胸が痛くなった。