オーラってすさまじいよね。
ステージってとってもキラキラしていて。
私が立っている世界と、全く違う世界が目の前に広がっている感じ。
本当に同じ人間なの?
あんな腰細くて、スタイル抜群な人が?
元気いっぱいに歌って踊って、みんなを惹きつけている。
「すごかったね。作品、見たくなったよ」
ランくんが、ものすごい勢いでうなずく。
バッグに入りきらなかった分のグッズやペンライトを両手に抱えて満足している。
帰りは、エリアごとで規制がかかり順番待ちをして出た。
私たちのところは、ステージ近くだったからか随分と待たされた。
「いい席でよかったね」
うんうんと、ランくんがうなずく。
宙斗ともこんなふうにコミュニケーションをとっているのかな?
そうだ、宙斗はよく話す。
話す側と聞く側でバランスがいいわけだ。
会場を出ると、宙斗が待つところに向かった。
「お疲れさま! みうちゃん、ランくん」
私たちの姿を見つけて、宙斗が走ってきた。
チャウチャウみたいな大型犬が舌を出して走ってくるみたいだった。
「ランくん、これ使って」
人間がひとり入りそうな程の折りたたみの大きなバッグを取り出すと、ランくんに渡した。
ランくんは、宙斗にバッグの口を大きく開けてもらい、そこへ丁寧にグッズを入れていった。
ランくんは入れ終わると何度も何度も私と宙斗に頭を下げた。
「え? ランくん、食べに行かないの?」
と、宙斗が驚いている。
ランくんが、コクンとうなずく。
いや、今の動作の間で、どうやってコミュニケーションしたのだろう?
宙斗はエスパーなの?
「どうしよう、みゆちゃん。ランくん、早く帰ってどうしても見直したいシーンがあるんだって」
ランくんは、ソワソワしていた。
「どうしてそんな事わかるの?」
「ランくんは目で語るんだ。とにかく食事会はまたの機会にしたいんだって」
「そうなの? いいよ。そんなのいつだって」
すると、ランくんがまた何度も私にお辞儀をした。
「ものすごく感謝してるって。本当にありがとう、神様って言ってるよ」
「いや、そこまで感謝してもらう必要ないから」
すると、ランくんにまた両手を握られた。
宙斗の表情が固まった。
「あのね、ランくんがみうちゃんを自宅に招待したいって」
「そ、そうなの? じゃあ、また機会があれば」
「見せたいDVD、ピックアップしておくって」
宙斗の謎の通訳に合わせて、ランくんが激しくうなずく。
「わかったから。じゃ、ここで解散でいいのかな? じゃあね、ランくん」
すると、また過剰というぐらいのお礼をして帰っていった。
「宙斗もお疲れさま。ずっと待つのも大変だよね」
息をのんで、びっくりした様子だった。
「全然だよ」
「待ってくれてたお礼にごちそうするから、何がいい?」
宙斗のぷっくりしたまぶたに潰されていた目が、みるみる大きくなった。
「そんな、いいよ! いや、行きたいよ。でも、ふたりでって、こんなのデ、デ、デ…」
顔を真っ赤にして震えている。
「デートみたい? じゃ、デートする?」
「みうちゃん、みうちゃんが、とうとう魔性の女性になっちゃった!!」
「魔性? んなわけないでしょ。魔性っていうのは……」
周りをキョロキョロしていると、背が高く長い髪を綺麗に巻いている女性を見つけた。
ミニスカートに、あらわになった白い太ももが眩しい。
短めのジャケットを着て、ぺたんこのお腹を見せつけている。
「ほら、あんな感じの女性じゃない?」
「そうかな? あれ? 横にいるのはランくん? 大変だ!! ランくんが変な人に捕まってる!!」
言われて、女性の横を見てみたら確かにランくんだった。
真っ赤な顔をして、首を横に激しく振っていた。
「助けてくる!」
あっという間に、ランくんの所へかけつけると、女性からランくんを引き剥がした。
それでもなかなか帰ろうとしない女性に、何を言ったかここからはわからないが、ついに、女性が宙斗を平手打ちすると、怒って帰ってしまった。
私も慌てて合流する。
「2人とも、大丈夫?」
頬が、打たれて痛そうに赤くなっている。
まだ、腫れ上がってはいない。
「早く冷やした方がいいよ」
ポケットからハンカチを取り出すと、持っていたペットボトルの水をかけて濡らし、宙斗の頬に当てた。
「……ありがとう、みうちゃん」
「いいから、気にしないで」
宙斗が、自分の手を私の上から重ねてた。
「冷たっ!」
弾力のあるいつもの温かい手のはずなのに、完全に冷え切っていた。
肌寒い中、ずっと外で待っていたんだと一瞬で理解した。
「ごめん!」
宙斗がびっくりして、手を離した。
「こっちこそごめん。ちょっとびっくりしただけ。どこかお店に入って待っててくれたらよかったのに…」
「そ、そうだね。でも、外でも少し音が聞こえたりして楽しかったんだ」
そっか、ライブ楽しみにしてたもんね。
また、次があるなら私も一緒に行きたいと思ってしまう。
ランくんが、ものすごく心配そうに宙斗を見ている。
「ランくん、大丈夫だよ。グッズも重いでしょ?」
ランくんが、首を横に勢いよく振っている。
「じゃ、僕も一緒に帰るよ。みうちゃん、ごめんね。やっぱり食事会はまたの機会に!」
そう言うと、脱兎の如く2人は駅方面へ走り去っていった。
ものすごくモヤっとしている。
自分の気持ちにも、今の状況にも。
できれば、今回のイベントについて少しくらいは語りたいじゃないの!
なんて心の叫びも虚しく。
「帰るか…」
祭りの後の寂しさを噛み締めながら帰路についた。
ステージってとってもキラキラしていて。
私が立っている世界と、全く違う世界が目の前に広がっている感じ。
本当に同じ人間なの?
あんな腰細くて、スタイル抜群な人が?
元気いっぱいに歌って踊って、みんなを惹きつけている。
「すごかったね。作品、見たくなったよ」
ランくんが、ものすごい勢いでうなずく。
バッグに入りきらなかった分のグッズやペンライトを両手に抱えて満足している。
帰りは、エリアごとで規制がかかり順番待ちをして出た。
私たちのところは、ステージ近くだったからか随分と待たされた。
「いい席でよかったね」
うんうんと、ランくんがうなずく。
宙斗ともこんなふうにコミュニケーションをとっているのかな?
そうだ、宙斗はよく話す。
話す側と聞く側でバランスがいいわけだ。
会場を出ると、宙斗が待つところに向かった。
「お疲れさま! みうちゃん、ランくん」
私たちの姿を見つけて、宙斗が走ってきた。
チャウチャウみたいな大型犬が舌を出して走ってくるみたいだった。
「ランくん、これ使って」
人間がひとり入りそうな程の折りたたみの大きなバッグを取り出すと、ランくんに渡した。
ランくんは、宙斗にバッグの口を大きく開けてもらい、そこへ丁寧にグッズを入れていった。
ランくんは入れ終わると何度も何度も私と宙斗に頭を下げた。
「え? ランくん、食べに行かないの?」
と、宙斗が驚いている。
ランくんが、コクンとうなずく。
いや、今の動作の間で、どうやってコミュニケーションしたのだろう?
宙斗はエスパーなの?
「どうしよう、みゆちゃん。ランくん、早く帰ってどうしても見直したいシーンがあるんだって」
ランくんは、ソワソワしていた。
「どうしてそんな事わかるの?」
「ランくんは目で語るんだ。とにかく食事会はまたの機会にしたいんだって」
「そうなの? いいよ。そんなのいつだって」
すると、ランくんがまた何度も私にお辞儀をした。
「ものすごく感謝してるって。本当にありがとう、神様って言ってるよ」
「いや、そこまで感謝してもらう必要ないから」
すると、ランくんにまた両手を握られた。
宙斗の表情が固まった。
「あのね、ランくんがみうちゃんを自宅に招待したいって」
「そ、そうなの? じゃあ、また機会があれば」
「見せたいDVD、ピックアップしておくって」
宙斗の謎の通訳に合わせて、ランくんが激しくうなずく。
「わかったから。じゃ、ここで解散でいいのかな? じゃあね、ランくん」
すると、また過剰というぐらいのお礼をして帰っていった。
「宙斗もお疲れさま。ずっと待つのも大変だよね」
息をのんで、びっくりした様子だった。
「全然だよ」
「待ってくれてたお礼にごちそうするから、何がいい?」
宙斗のぷっくりしたまぶたに潰されていた目が、みるみる大きくなった。
「そんな、いいよ! いや、行きたいよ。でも、ふたりでって、こんなのデ、デ、デ…」
顔を真っ赤にして震えている。
「デートみたい? じゃ、デートする?」
「みうちゃん、みうちゃんが、とうとう魔性の女性になっちゃった!!」
「魔性? んなわけないでしょ。魔性っていうのは……」
周りをキョロキョロしていると、背が高く長い髪を綺麗に巻いている女性を見つけた。
ミニスカートに、あらわになった白い太ももが眩しい。
短めのジャケットを着て、ぺたんこのお腹を見せつけている。
「ほら、あんな感じの女性じゃない?」
「そうかな? あれ? 横にいるのはランくん? 大変だ!! ランくんが変な人に捕まってる!!」
言われて、女性の横を見てみたら確かにランくんだった。
真っ赤な顔をして、首を横に激しく振っていた。
「助けてくる!」
あっという間に、ランくんの所へかけつけると、女性からランくんを引き剥がした。
それでもなかなか帰ろうとしない女性に、何を言ったかここからはわからないが、ついに、女性が宙斗を平手打ちすると、怒って帰ってしまった。
私も慌てて合流する。
「2人とも、大丈夫?」
頬が、打たれて痛そうに赤くなっている。
まだ、腫れ上がってはいない。
「早く冷やした方がいいよ」
ポケットからハンカチを取り出すと、持っていたペットボトルの水をかけて濡らし、宙斗の頬に当てた。
「……ありがとう、みうちゃん」
「いいから、気にしないで」
宙斗が、自分の手を私の上から重ねてた。
「冷たっ!」
弾力のあるいつもの温かい手のはずなのに、完全に冷え切っていた。
肌寒い中、ずっと外で待っていたんだと一瞬で理解した。
「ごめん!」
宙斗がびっくりして、手を離した。
「こっちこそごめん。ちょっとびっくりしただけ。どこかお店に入って待っててくれたらよかったのに…」
「そ、そうだね。でも、外でも少し音が聞こえたりして楽しかったんだ」
そっか、ライブ楽しみにしてたもんね。
また、次があるなら私も一緒に行きたいと思ってしまう。
ランくんが、ものすごく心配そうに宙斗を見ている。
「ランくん、大丈夫だよ。グッズも重いでしょ?」
ランくんが、首を横に勢いよく振っている。
「じゃ、僕も一緒に帰るよ。みうちゃん、ごめんね。やっぱり食事会はまたの機会に!」
そう言うと、脱兎の如く2人は駅方面へ走り去っていった。
ものすごくモヤっとしている。
自分の気持ちにも、今の状況にも。
できれば、今回のイベントについて少しくらいは語りたいじゃないの!
なんて心の叫びも虚しく。
「帰るか…」
祭りの後の寂しさを噛み締めながら帰路についた。


