ポヨポヨな彼の正体を突き止めたいのですが?!

ヒーローがカッコいいのはなんでだろう?


見た目がカッコいいから?


強いから?


正義だから?


助けてくれる努力を惜しまないから?


宙斗はなんでここまでするんだろう?


「みうちゃん、もう大丈夫だよ」


「ありがとう」


ぐんぐん引っ張られて、群衆から抜け出す。


一息つく私と宙斗。


彼は肩で息をしていた。


「さ、気を取り直してランくんと一緒にね」


「うん…」


できれば宙斗と参加したかったとチラッと思ってしまう。


いやいや、これは違う。


血迷うな、私。


そもそも、このイベントに当選しなければこんこんな面倒なことになっていない。


イベントに振り回されてるのは私だ。


「ランくん、こっち、こっち!!」


ものすごい大きな声だったので、周りの全員がこちらを向いた。


ランくんは、群衆の中から宙斗を見つけると、キリンが草原を走るように人をかき分け、かき分け、向かってきた。


ランくんは、来るやいなや宙斗に抱きついた。


大きな大福に、葉っぱの軸が引っ付いているような感じ。


うーん、何だろう。


何ともシュールな光景。


しかも、どこかしら敗北を感じる。


「ランくん、次は頑張ってみうちゃんに着いていくんだよ」


コクンとうなずいた。


親子に見える。


見かけは宙斗が子どもでランくんが親。


実際は、宙斗が親でランくんが子どもだ。


「さ、2人ともファイトだよ! 弾かれないようにね」


すると、ランくんが私の手を握った。


一瞬、宙斗の表情が固まったようにも見えたが、すぐ元に戻る。


「うん、それなら大丈夫。いってらっしゃい!!」


満面の笑みで送り出された。


モヤモヤ発生注意報。


これは不安?


そう、宙斗に勘違いされないかっていう不安だ。


繋いだ手のおかげで、今度はスムーズに入り口に向かうことができた。


でも、その道中でも宙斗が気になって。


つい振り返った。


まるでそれがわかってたのように、プニプニの腕を上に上げて、拳を突き上げている。


顔は見えないが、それは宙斗だった。


あ……。


宙斗と一緒だったらという気持ちが強くなる。


いや、いい。


イベントが終わったら、きっとまたあの笑顔で待っててくれる。


そうしたら、一緒に食べに行ってイベントで起きたことをたくさん話そう。


ふと、見上げると。


ランくんが、真っ赤な顔をしながらはにかんだ。


「イベント、楽しもうね!」


ランくんが、コクンとうなずいた。