何も変わらないってやっぱり幸せだ。
毎日、同じルーティーンで暮らせるならなお良い。
安定感や安心感に包まれるのは本当に心地よい。
スリルは求めず、身構えずに、また命が縮みそうなほど驚かずに済む。
それでも、冒険したいって気持ちがどこからとなくフツフツと湧き上がったりもする。
今日は、その冒険の日。
待ちに待ってもない、なぜか当選してしまったイベント。
『マジカリリーのみんなで大集合』
結局、宙斗からはランくんのことは聞き出せなかった。
でも別にいい。
きっと宙斗が率先して準備してくれる。
ランくんは、宙斗の友達で、それなら私とも友達にきっとなれるはずだ。
宙斗はランくんがイケメンだとフラグ立ててたけど、それは宙斗の視点だし。
私からすれば、除外される可能性だってある。
「みうちゃん、待った?」
宙斗の横にいたのは、2メートル近い長身の私より細い男の子。
色白で髪の毛はブロンド、目はガラス玉のように透き通っているスカイブルー。
鼻は高く、薄い唇がなんとも言えないイケメン度を上げている。
ものすごく目立つので、みんなの注目を浴びている。
私も、口がだらしなく開きっぱなしだ。
「みうちゃん、紹介するね。田中ルスランくん」
「田中? ルスランくん? ハーフ?」
「そうだよ。ね、ランくん」
コクンとうなずくランくんだった。
「初めまして。私、神崎みう」
深々と礼をするランくん。
あれ?
あれれ?
さっきからうなずくばかりで、全然声を聞いていない。
「今日はよろしくね」
またまたコクンとうなずく。
そして、宙斗の後ろに隠れてしまった。
(全然隠れていませんが)
「ランくんね、とっても恥ずかしがり屋なんだ。今まで、お母さん以外の女の子と話したことないんだ」
ある意味すごい。
もう、なんで言ったらいいか。
ありきたりの言葉しか思い浮かばないが、イケメンなのにもったいない。
「わかったよ。とにかく、中入ればいいんだよね?」
「そう。チケットコード出して、入り口で見せるんだよ。必ずランくんと一緒にね」
「わかった。これね。じゃ、行ってきます!」
「終わったら、またここに来て。待ってるから。ランくん、みうちゃんと絶対はぐれちゃだめだからね!」
ランくんが、またコクンとうなずいた。
会場の入り口へ向かうと、ものすごい人でごった返し。
我先にと、後ろからも押されて、人の波にのまれてしまった。
「ランくん!」
彼も押されて別の方向へ流されていってしまう。
彼のところへ戻ろうとするが、押される力が強すぎて、あっという間に離れ離れになってしまった。
それなのに、私がいる波は入り口にどんどん近づいている。
「ランくん!」
ランくんが別の方に流れるのが見えて叫んだ。
ランくんは、一瞬キョロキョロして私を探したが、私が人の波の中にうずもれているせいで、気付かせることができない。
「ランくん! こっち。ゲート前!」
声は届いているようだが、そのまま流されて行ってしまった。
どうしよう…。
ここから出る方法も思いつかず、入り口ゲートへ流されてしまう。
「どうぞ。チケットをこちらへ」
コードリーダーを目の前に、フリーズしてしまった。
その時、突然腕を掴まれぐんぐん引っ張られた。
集団の流れる方向と逆に進める。
やっと圧迫感から解放されて息ができる感じ。
人をかき分け、どんどん前進してくれるのは、宙斗だった。
「大丈夫? みうちゃん?」
「うん。まさか、こんなに凄いと思わなくて」
「じゃ、ランくんとまた合流して、再チャレンジだね」
「うん、次はもう平気だね」
笑っている宙斗が、ちょっぴり眩しく見えた。
毎日、同じルーティーンで暮らせるならなお良い。
安定感や安心感に包まれるのは本当に心地よい。
スリルは求めず、身構えずに、また命が縮みそうなほど驚かずに済む。
それでも、冒険したいって気持ちがどこからとなくフツフツと湧き上がったりもする。
今日は、その冒険の日。
待ちに待ってもない、なぜか当選してしまったイベント。
『マジカリリーのみんなで大集合』
結局、宙斗からはランくんのことは聞き出せなかった。
でも別にいい。
きっと宙斗が率先して準備してくれる。
ランくんは、宙斗の友達で、それなら私とも友達にきっとなれるはずだ。
宙斗はランくんがイケメンだとフラグ立ててたけど、それは宙斗の視点だし。
私からすれば、除外される可能性だってある。
「みうちゃん、待った?」
宙斗の横にいたのは、2メートル近い長身の私より細い男の子。
色白で髪の毛はブロンド、目はガラス玉のように透き通っているスカイブルー。
鼻は高く、薄い唇がなんとも言えないイケメン度を上げている。
ものすごく目立つので、みんなの注目を浴びている。
私も、口がだらしなく開きっぱなしだ。
「みうちゃん、紹介するね。田中ルスランくん」
「田中? ルスランくん? ハーフ?」
「そうだよ。ね、ランくん」
コクンとうなずくランくんだった。
「初めまして。私、神崎みう」
深々と礼をするランくん。
あれ?
あれれ?
さっきからうなずくばかりで、全然声を聞いていない。
「今日はよろしくね」
またまたコクンとうなずく。
そして、宙斗の後ろに隠れてしまった。
(全然隠れていませんが)
「ランくんね、とっても恥ずかしがり屋なんだ。今まで、お母さん以外の女の子と話したことないんだ」
ある意味すごい。
もう、なんで言ったらいいか。
ありきたりの言葉しか思い浮かばないが、イケメンなのにもったいない。
「わかったよ。とにかく、中入ればいいんだよね?」
「そう。チケットコード出して、入り口で見せるんだよ。必ずランくんと一緒にね」
「わかった。これね。じゃ、行ってきます!」
「終わったら、またここに来て。待ってるから。ランくん、みうちゃんと絶対はぐれちゃだめだからね!」
ランくんが、またコクンとうなずいた。
会場の入り口へ向かうと、ものすごい人でごった返し。
我先にと、後ろからも押されて、人の波にのまれてしまった。
「ランくん!」
彼も押されて別の方向へ流されていってしまう。
彼のところへ戻ろうとするが、押される力が強すぎて、あっという間に離れ離れになってしまった。
それなのに、私がいる波は入り口にどんどん近づいている。
「ランくん!」
ランくんが別の方に流れるのが見えて叫んだ。
ランくんは、一瞬キョロキョロして私を探したが、私が人の波の中にうずもれているせいで、気付かせることができない。
「ランくん! こっち。ゲート前!」
声は届いているようだが、そのまま流されて行ってしまった。
どうしよう…。
ここから出る方法も思いつかず、入り口ゲートへ流されてしまう。
「どうぞ。チケットをこちらへ」
コードリーダーを目の前に、フリーズしてしまった。
その時、突然腕を掴まれぐんぐん引っ張られた。
集団の流れる方向と逆に進める。
やっと圧迫感から解放されて息ができる感じ。
人をかき分け、どんどん前進してくれるのは、宙斗だった。
「大丈夫? みうちゃん?」
「うん。まさか、こんなに凄いと思わなくて」
「じゃ、ランくんとまた合流して、再チャレンジだね」
「うん、次はもう平気だね」
笑っている宙斗が、ちょっぴり眩しく見えた。


