巡恋-出逢ってくれてありがとう-

(はぁ~…憂鬱。。)





私は重い足取りで

柏木のいる

美術工芸館に向かっていた





『麗子~♪』




振向くと里沙がいた





「里沙ー…替わりに柏木の所行ってきてよ~…」

『ほ~らっ♪頑張って!!自分の気持ちちゃんと言わなきゃダメだよ!柏木に流されたら向こうの思うツボなんだから!』

「う゛-…」





里沙は私の背中を押してくれた





「里沙はドコ行くの?」





私は思い立ったように

振向いて里沙に言った





『図書館♪私、寮だし帰っても暇だしさっ!!』





里沙は…

数日前から

寮生活を始めていた

両親の離婚が早まって

卒業するまでの数ヶ月を…





「そっか…。」

『…頑張ってよ!!』

「…うん…。」





里沙の事は…

決まってから聞く事が多かった

相談では無く…

報告





【私達っ!心友だもんね♪】





そうやって

言葉に出して確認しないと

不安になる事もあった





私は美術工芸館の方に

歩いて行く





『………。』




里沙…

私の不安よりももっと

里沙の方が

不安だった事





気付いてあげられなくて…





ごめんね…





それから2人に起きる

沢山の出来事も…





里沙が…

私の事を…

どんなに心配してくれてたかなんて





これっぽっちも

考えて無かった





どんな時も…

私の味方でいてくれた事も




私は深呼吸をして

美術工芸館の扉を開けた