「もしもし〜?あっ、希空?」
希空、と言うのは桜駒の従姉妹。
あたしも一度会ったことがあるから知っている。
希空さんは父方の従姉妹だからか、桜駒のお父さんに少し似ている。
そーいや桜駒って……お父さんに全然似てないんだよなあ……。
唯一そこだけ腑に落ちない。
母親似って言うのはわかるけど、それでも少しは父親に似るはずだ。
お兄さんたちにもあんま似てないし……あ、でも一番上のお兄さんとは似ていた。
あたしの気のせいなのかな。
でもきっと、桜駒は何かを隠している。
あたしになんて言えない、重大な秘密を。
だけど、それを聞く権利なんてあたしにはない。
だからあたしは、桜駒が自分から言い出してくれるのを待って、今日も彼女の隣で笑い続けるんだ。
そうこうしてる間に店員さんが来て、注文していたものが運ばれてきた。
「こちら、キャラメルフロート、クリームソーダ、マドレーヌ、モンブランでございます」

