地の果てに咲く花

母さんから父さんを奪った、不倫女に嫌気がさして家を出たとき。

俺は見てしまったんだ。

“家族”を手に入れて、笑顔を浮かべている桜駒を。

愛する人のそばにいて、幸せそうにしている母さんを。

まるで、自分の母親と妹じゃなくて、他の家庭の人だと思ってしまって。

それが実際そうだって思い知った。

俺は、母さんと桜駒のことを引きずっていた。

まだ家族だって。

だけど二人は、桜駒は、違った。

俺だけじゃなかった。

とっくに家族を手に入れてて。

そんな妹を見て、自分はもう必要ないんだって。

妹に対して、黒い感情が湧いて。

これは、罰なんだって思った。

妹を愛せなかった、俺への罰。



──俺の『罪』は、妹を愛せなかったことだ。