地の果てに咲く花

「いや!嫌だよぉ……っ、一人にしないで……!」

俺だって、本当は離れたくないんだよ。

お前がいたから、耐えていけたのに。

「お兄ちゃんっ………!」

そのとき、妹は物心ついてから、初めて涙を見せた。

両親に愛されてないことを教えたときでさえ、笑っていた桜駒が。

俺と離れたくないって、泣いたんだ。

俺はようやく、桜駒が何よりも大切にしなくちゃいけなかったってわかって。

多分初めてだった。ちゃんと“妹”と見たのは。

自分とは違う、もう一人の人だって。

桜駒をそう見たのが、遅すぎたんだ。

別れるときに、そんなことに気づくなんて。

でも、時は無常で残酷だから。

俺と桜駒は引き離された。

桜駒に謝りたい。桜駒を抱きしめてやりたい。

そう思っても叶わなくて。

そんな空っぽな、只々義務的に生きていたある日。