地の果てに咲く花

私に“親の愛”を与えなかったくせに、“最愛の兄”まで奪うのか。

そう思った時、私は全てを理解し──全てを諦めた。

この人たちに、愛を求めたらダメだって。

でもじゃあ、誰に愛を求めたらいい?

お兄ちゃんがいない今、誰が私を愛してくれるって言うんだ。

お兄ちゃんがいなくなって、愛してくれる人なんて誰もいない。

そんな空っぽな、只々義務的に生きていたある日。

お兄ちゃんたちと離れてから、3年後だったかな。

お母さんが、会わせたい人がいると言った。

「君が桜駒ちゃんかな?」

そう言って幼い私に目線を合わせたのは。

とても優しそうに笑う、30代くらいの男性だった。

そして、見たことないくらい楽しそうに笑うお母さん。

新しいお父さんだ、そう言われた。

新しい大きなお家に住むことになって。

お母さんはその家にいた私より何個か年上の男の人を優しく抱きしめた。