「……おしまい」
幼い少女がキラキラとした瞳で目の前の少年を見る。
「おうじさまってかっこいいね!」
「そう?」
兄である少年は妹の頭を軽く撫でて、絵本をしまう。
年子かと疑うかも知れないが、正真正銘の双子の兄妹だ。
「さこまのおうじさまはね、お兄ちゃん!」
妹が笑顔で言うと、兄は呆れまじりに笑った。
「何で?」
「だってさこまの“かっこいい”はお兄ちゃんだもん。だからお兄ちゃんはおうじさま!」
少女が穢れなき瞳で兄を見上げると、少年は息を呑み、そして笑った。
「……そうだね。じゃあ、桜駒はお姫様かな」
「さこまがおひめさま⁉︎やったあ〜」
少女は兄に抱きつくと嬉しそうにはにかむ。

