地の果てに咲く花

俺は、世界が色づいた気がした。

何もない空っぽな世界に、桜駒の存在がきて。

俺は桜駒を可愛がるようになった。

だけど……。

愛されてないから、愛してあげる方法がわからなくて。

妹をちゃんと愛することはできなかった。

最愛の妹なはずなのに、ちゃんと愛せなくて。

彼女を通して、“もう一人の自分”として見ないと愛せなかった。

誰にも愛されてない自分が、酷く惨めで滑稽すぎたから。

でも俺が、桜駒を“双子の妹”として見るようになったのは。

『っ、待って!行かないでお兄ちゃん……っ!』

両親が離婚すると決まった時。

寧ろ、何年も良く夫婦生活を送れていたなと思ったくらい。

俺はてっきり、桜駒と一緒だと思って。

だけど。

父さんが俺を引き取ると言った時、頭の中で何かが壊れた音がした。