地の果てに咲く花

桜駒はきっと、話しかけようとしてくれてたんだろう。

昔のように。

でも俺は、そんな妹から逃げた。

都合のいい時だけ、兄面して。

俺は、ずっと逃げてたんだよ。

最愛の妹が、愛してるはずの妹が、前を向いて行くたび。

喜ばないといけないのに。

自分の中に黒い感情があって。

それを蓋するために、俺は逃げていた。






『おにーちゃん』

『……ん』

『さこまとお兄ちゃんはずーっと一緒でしょー?』

幼い頃、妹が言った言葉。

俺はその時、何言ってるのか、と呆れていたと思う。