キーンコーンカーコン
終礼のチャイムがなった瞬間、前の席のみよがバッと後ろを振り向いた。
「桜駒!今日放課後デートしない?」
みよは目をキラキラ輝かして言う。
デートって──。
「ごめんねみよ……。私、そーゆー趣味なくって……」
百合はちょっと……。
みよを否定するつもりはないんだけど…。
「違うわ‼︎カフェに寄り道しよってこと!あたしもそんな趣味ないから!」
あれれ。
違ったのか。
「カフェ?全然オッケー」
片手で丸を作って席を立ち上がる。
「やったー!じゃ、帰ろ!」
みよがするりと腕を絡めてくる。
年離れたお姉ちゃんがいるからか甘えん坊だよねえ……。
「あ、待って。ママに連絡入れんと」
「はいはい〜」
LINEを開いて『ママ』の文字を押す。
『今日友達とカフェ行くから遅くなる〜』
ごめんね、と謝っている可愛いうさぎのスタンプをぽんっと送った。
「ほんっと、親と仲良いよねえ」
みよが嫌そうな顔をして言う。

