地の果てに咲く花

私がお兄ちゃんに会いたくなかったのは、罪悪感があったからだ。

可愛がってもらっていたのに、“お兄ちゃん”を愛することができなかった。

私はお兄ちゃんを愛していたんじゃない。

私は私を愛していた。

誰にも愛されない。自分で自分を愛さないと、惨めで憐れで虚しすぎたから。

だから私はお兄ちゃんを愛するふりをして、自分を愛していたんだ。






『お兄ちゃん……お父さんはさこまのこと、嫌いなの?』

幼い頃、双子のお兄ちゃんに幾度なく聞いた言葉。

お父さんに愛されてないことは理解していた。

でも何でだろう?

何でお父さんに嫌われてるんだろう?

お兄ちゃんは私と違って、幼い頃から聡かったから。

お兄ちゃんに聞けば、大抵のことは知れた。