地の果てに咲く花

カバンを持ち、ママに声を掛ける。

「ママー!行ってきまーす!」

「いってらっしゃい〜」

ママは優しい笑顔で手を振ってくれた。

可哀想なママ。優しいから、あんなことになったんだ。

私を産まなければ、あんな奴に縛られることなんてなかったのに。

首にかけているペンダントを強く握りしめる。

「お兄ちゃん──」

最愛の双子の兄の姿を脳内に浮かべ、唇を噛み締めた。

「……私が、絶対に──」

そんな声はある少女によってかき消された。

「おっはよー!桜駒!」

ベシッと肩を軽く叩かれ、驚いて後ろを振り向く。

「みよ!」

「よっ!」

にしし、と笑ったのは親友である織原 美宵だ。

「一緒に行こー」

「うん」

みよと肩を並べてゆっくりと歩く。

「にしても桜駒は今日も髪サラサラねえ」

みよが私の髪でくるくると遊ぶ。

確かにパパが高いシャンプー買ってくれたから手入れは行き届いてると思うけど……そこまでサラサラなのか……?

「アレンジしないのがもったいなーい!」

そういうみよは胸上まであるダークブラウンの髪をハーフアップにしている。

私はアレンジできないから正直言って羨ましい。