地の果てに咲く花

何で。何で何で今更っ……。

「紫悠っ……、会いたく、なかった……」

「……うん」

「会いたく、なかったのに……!」

「……ごめん」

私は怒りをぶつけるかのように紫悠の襟を引っ張る。

違う。

紫悠は悪くない。

何も悪くないのに、私は紫悠に怒りをぶつける。

なのに、何で怒ってくれないの。

その優しさが、かえって私を苦しめる。

「……お兄ちゃんは……?」

恐る恐る聞く。

「……聖杜は居ないよ」

ほっとしたようなガッカリしたような。

この時、私は何て答えてほしかったんだろう。

居てほしかった?だけど、会ったところでどんな顔をすれば良いんだ。

私だけ、幸せになって。

お兄ちゃんのことは、見捨てた。