地の果てに咲く花

カバンを持って家を出ようとした時、ママがぱたぱたと玄関まで走ってきた。

「桜駒ちゃん、パーカー着ていきなさい」

「え、でも暑いかもよ?」

「薄いの持ってきたから」

はい、と渡されたのは確かに薄いパーカー。

こんなのいつ買ったんだろう。

ありがとう、と伝えてパーカーを持ち、家を出る。

希空と約束したのは一駅先の場所にあるすっごくお洒落なカフェ。

希空のお気に入り店らしい。

最寄り駅に着いて改札を通ろうとした時、後ろからポンっと肩を叩かれる。

「桜駒」

「っ──!」

なんで、ここに。

何でここに、貴方がいるの。

「紫悠……!」

目の前で優しく笑うのは、幼馴染である加藤 紫悠だ。

そして、お兄ちゃんの、……親友。