地の果てに咲く花


別に何かあったわけでは無いけど。

「……聖杜は?」

いつも大抵セットでいるのに今日は桜駒一人しかいない。

「お兄ちゃんはしゅーまと遊んでるよ」

ああ、あの子か。

聖杜と桜駒の異母弟。

今更だけど、本当楠見家って複雑だよな……。

「紫悠。何か言いたいことでもあるの?」

「そんなこと……」

全てを見透かすような桜駒の瞳に何も反論できなくなる。

「……俺は、ずっと桜駒と聖杜を一緒にいさせてやりたかった」

6年も、離してやりたくなかったんだよ。

「……そんなの、今更じゃん」

そうだよ。

今更だけど。

あの時の桜駒は泣いた。