「おとう、と……?」
桜駒はじーっと秋真を見つめる。
「えっと、……秋真です……。桜駒ねーちゃんとは異母姉弟で……!」
しどろもどろになりながら秋真が言った。
桜駒はぱぁああと顔を明るくさせた。
「おとうと……!」
喋り方幼児化してんぞ。
「かわいい!私の弟だって!やったあ!」
雷稀兄から離れて秋真に抱きついた桜駒。
……体格差があるから、抱きしめてる感じだけど。
秋真は驚いた顔をしながらも……嬉しさを噛み締めてるように唇を噛んだ。
やっぱり……桜駒なら、秋真を受け入れてくれるって思ってた。
誰よりも優しくて、周りのことを理解して行動に移し、それでも何も分かってないかのように振る舞う。
『お兄ちゃん……お父さんはさこまのこと、嫌いなの?』
幼いとき、妹に幾度なく言われた言葉。
それに俺は答えられなかった。

