「兄ちゃん着いたよ」
秋真に声をかけられ、ハッとして目を覚ます。
俺寝てたのか……。
11歳になった秋真は頭もいいし、スポーツもできる。
だからちょっとおませになったかもしれない。
「降りようか」
タクシーを降りて、空港へ歩く。
本当は兄さんが送ってくれる予定だったんだけど、急に仕事が入ったらしい。
まああの人、23歳の社会人だからなあ……。
雷稀兄は大学通ってるから忙しいし。
今日は俺と秋真で来た。
あ、でもあと一人……。
「聖杜ー秋真ー遅いわよー」
バンっと目の前に来たのは、従姉である希空。
希空は最初の方いつも表情を俯かせていたけど、最近はよく笑うようになった。

