地の果てに咲く花


「……お父さんと結婚して6年後。お腹に新しい命が宿った」

母さんは当時のことを思い出すかのように、お腹を撫でた。

「双子だって言われて……最初はショックだった。堕そうとさえ思った」

母さんがそんなこと考えてたのは知らなくて……ショックだったけど、納得の方が大きかった。

事実、俺も産まなきゃよかったのにって思ってたから。

「だけど……堕すことなんてできなかった。だって私の子であることは変わらないし、双子だからきっと楽しくなれるだろうなって」

でも……と続ける。

「現実は、そうは甘くなかった。二人とも可愛かったけど、私がちゃんと大事にできなかったせいかな……線を引かれてるのは自覚してた。そして、お父さんが不倫してたの知って……」

母さんはぎゅっと拳を握る。

怒りを堪えるかのように。

「私の今までは何だったのって思った。今すぐ別れようって……二人も連れてって、大変だけど、今度こそ楽しい家族になれるって。でも……お父さんが聖杜を引き取るって言って。許せなかった。私から全部奪ったくせに。だけど……私には頷くしかできなかった。あの人の機嫌を損ねて聖杜と桜駒を傷つけられるのが怖かったの……」

「母さん……」

「本当はずっと、ちゃんと愛してあげたかった……!だけど私は、二人を愛するのが怖くて。大切なのに、可愛がってあげられなくて……っ」

──本当はずっと思ってた。