その言葉に、瞳が揺れる。
望まれて生まれてきた人と、望まれないで生まれてきた俺。
そんな人の弟だなんて名乗っていいわけが……。
『母さんは、桜駒と聖杜を離してしまったことをずっと後悔してたんだよ』
──でも。母さんが、本当に愛してくれてたなら。
俺は……。
「兄、さん……」
俺は、この人を兄と呼んでもいいのかもしれない。
魁眞さん……兄さんはにこっと笑うと、俺の頭をぐしゃぐしゃ撫でた。
その手つきに優しさを感じて。
兄ってこんな感じなんだって思った。
「にしても『兄さん』、かあー」
兄さんが頭の後ろで手を組んで言う。
「?」
「やっぱ桜駒と双子なんだなー?」
「……そーですが」

