「次に会ったのは、中学2年。あと、母さんが桜駒を連れて再婚したときの中3かな」
再婚……。
「母さんは記憶の通り、よく笑う人だった。だけど、あのときみたいに心から笑ってくれてなんてなかった」
「え……」
「母さんは、桜駒と聖杜を離してしまったことをずっと後悔してたんだよ」
『ごめん、ごめんなさい………っ、桜駒と離してごめんね………っ』。
母さんと別れる際に言われた言葉。
あのとき、物心ついてから初めて抱きしめられた。
いつも義務的に笑っていた母さんが、初めて俺の前で泣いて。
考えれば、わかったかもしれないのに。
「っ、ごめん、……」
母さんが愛してくれていたなんて、分かれたはずなのに。
「……きーよと。俺から一つお願いがあるんだけどいいー?」
魁眞さんはわざとおちゃらけたように言った。
「……はい」
「俺のこと、兄ちゃんって呼んでほしいな」

