それって……俺たちのこと……。
母さんは一度、俺たちが生まれる前に魁眞さんに会っていた……?
「母さんは俺を産んだあと、違う人に嫁いだって聞いてて。幼いながらに可哀想って思ってた」
好きでもない男に嫁いで──そう言ってるようで、申し訳なくて視線を下げる。
「俺の家は複雑でさ。知ってるだろ?俺と雷稀は異母兄弟で俺と桜駒は異父兄妹」
「……はい」
「だけど、初めて会った母さんは──すごく笑顔で笑ってたんだ」
え……?
母さんが、笑ってた……?
「『もうすぐ双子が生まれるんだ。きっと可愛いだろうなあ』。そう言って、母さんは嬉しそうに笑ってたよ」
「っ──!」
母さんはいつも父さんと喧嘩していた。
笑ってるところなんて見たことなくて。
俺たちじゃなくて、違う人を愛してるって。
愛されてなんかないって思ってたのに。
──母さんは俺たちのこと、本当は愛してくれていた……?

