小さく頷くと、魁眞さんはくいっと人気の少ない場所を指した。
そこにある椅子に二人で座る。
「……まず、何から話そうか」
その言葉に何も言えずに俯く。
本当は少し、怖い。
愛されてるこの人に、否定されてしまうんじゃないかって。
「聖杜から、母さんを奪っちゃってごめんな」
驚いて目を見開ける。
違う……奪ったのは俺たちであって、魁眞さんではない。
それなのに、上手く言葉が出なくて。
「……楠見家での、母さんはどんな人ですか」
わかってるのに。
母さんが俺たちのこと愛してなくて、魁眞さんたちを愛しているから、扱い方が違うって。
わかってるのに、聞かずにはいられない。
「……俺が母さんに初めて会ったのは、小学生になったばかりの頃だった」
6歳の時……。
「そのとき、母さんのお腹はすでに大きくて。双子がいるんだよって教えられたんだ」

